3607.2017年3月29日(水) 高浜原発再稼働のお墨付きと高校生遭難の疑問

 福井県高浜町にある関西電力高浜原発3、4号機の運転再開を求めていた関西電力の訴えを大阪高裁が認めた。すでに大津地裁が出した運転差し止め仮処分の決定を取り消したのである。そもそも仮処分を申請したのは、高浜町住民ではなく高浜原発から離れたところに住む滋賀県民であるが、彼らは民意を無視した司法の暴走と強く批判している。また、県民や世論に逆行し、東電福島第一原発事故を忘れたかのような決定との非難の声が上がっている。最高裁にまで特別抗告するかどうかは、まだ分からないが、原発反対派にとっては大きな痛手である。

 勢い付いたのは、わが意を得たりの関電と政府である。町に活気が戻るとして原発推進派の高浜町商工会会長、高浜町長、更には西川一誠・福井県知事らは経済が立ち直るとこの決定を歓迎している。

 最も嬉しそうな表情を見せたのは当事者の関西電力・岩根茂樹社長である。笑いを噛み殺したような表情が印象的で早速原発再稼働へ向けた準備に入ると話している。だが、福島原発事故から6年が過ぎたが、世間はまだその恐ろしさを忘れたわけではない。使用済み核燃料の処分などの問題はまだ完全に解決されたわけではない。これからどういう道を歩くことになるのだろうか。

 さて、一昨日群馬県那須の茶臼岳の頂上近くの尾根伝いに表層雪崩が起きて、複数の高校生が遭難死した。県教育委員会主催の冬山合同訓練に参加していた群馬県公立高校7校の山岳部員男女62人のうち、県立大田原高校山岳部員男子7名と男性指導教諭が不幸にして死亡した。現場の判断が正しかったのかどうか、いろいろ複雑な問題を提起している。学生時代から社会人になっても冬山を含めて登山活動を行ってきた私自身にも腑に落ちないのは、雪崩の通り道でラッセル訓練を行っていたことである。茶臼岳に雪崩の危険があると報道されて、登頂を断念しながら、危険な谷あい周辺でラッセル訓練を行っていた。茶臼岳登山を諦めた時点でどうして撤退して帰らなかったのかと疑問を呈していた亡くなった部員の友人がいた。しかも後から疑問点が次々に明らかになっている。警報が出ていたにも拘らず雪崩を予期していなかったのかとか、森林帯へ入るとの届けが出ていなかったとか、位置を知らせる発信器を生徒らが誰も持っていなかった、等々の問題点が指摘されている。

 夕方5時に県教育委員会が記者会見を開いて、事情を説明していたが、大田原高校関係者は、責任追及されることを恐れているようでその説明内容はどうもすんなりと納得し難いように感じた。安全訓練をやって遭難しているようでは、何のための訓練かと問いたい。

2017年3月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com