3605.2017年3月27日(月) 格安旅行会社が自己破産宣告

 旅行会社を退職してから旅行業界事情も大分変って来て、良い意味でも悪い意味でも我々世代には想像も出来ないような実態になっているとは承知していたが、まさかこんなお粗末な経営手法で会社が倒産に追い込まれるとまでは想像も出来なかった。それは今日破産宣告をした格安海外ツアー会社「てるみくらぶ」の例である。

 同社の負債は151億円だそうだが、我々の感覚から言えば、旅行会社は入金が先で、出金がその後になるので、その間の金利で会社をうまく回しているというのが一般的な理解であり、実際ほとんどの旅行会社の経営方式だった。実際には金利ゼロ政策により効果的ではなくなった。その一方でかつては考えられなかったような格安ツアーのネット販売が足を引っ張ったようだ。すでに旅行代金を支払い済みの旅行者への返済も、ある程度日本旅行協会(JATA)弁済業務委員会が保管・管理している加盟旅行会社の相互扶助的な拠出金から弁済することになっているが、これほどの負債額になると果たして全額補償は出来ないのではないだろうか。実際JATAが同社に弁済出来る金額は1億2千万円程度と言われている。

 これは「てるみくらぶ」が、会社の規模、営業力以上に販売活動、特に高価な新聞広告費などに投資し過ぎた結果だと報道されている。メディアで伝えられる同社の営業力は、ホテルや航空会社への支払いが滞りがちになり、そのため旅行者は旅行費を支払いながらもそれらを利用出来なくなってしまった。同社は航空券を発券しながらも航空機に搭乗できなかったり、現地で宿泊出来ない恐れがあるので、旅行しないよう旅行者に呼びかけているそうだが、どういう意味なのか、俄かには理解出来ないし、どうにも会社の経営が不健全になっていくカラクリが良く分からない。

 かつては格安旅行自体は航空会社のルールの縛りで行えないようになっていた。例えば、定番のハワイ旅行は、4泊6日が146,000円?を下回った価格では販売出来ないことになっていた。それが今では10万円以下のツアーはざらにある。旅行素材供給が多種多様で大量になり、あまり煩いことは言わなくなって、ガードが甘くなってしまった。いずれにせよ旅行ブームは一見華やかであるが、その実台所事情は危なっかしいというのが実情である。それは昔も今も変わっていない。

 これはお上の観光庁の指導にも問題がある。汗をかかずに、好いとこ取りばかりやる官僚体質こそこういう問題が発生する根源ではないかと思っている。

 突然だが、那須岳スキー場で冬山訓練をしていた栃木県の公立高校山岳部連盟の高校生グループが雪崩に遭い、8名が亡くなった。今日は東京でも積雪があったくらい全国的に気温が低くなり、山岳地帯には大きな積雪があり雪崩が危険視されていた。しかし、訓練の名目が、遭難してしまっては何のための訓練だったのかと言いたい。他にもケガをした生徒が40人ほどいるので、まだ遭難死が増える可能性がある。引率者の教師は長い登山歴のあるベテランだったというが、この指導者や企画した連盟に問題はなかったのだろうか。

2017年3月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com