豊洲市場を巡る問題で、今日東京都議会百条委員会が石原慎太郎・元知事を証人喚問した。一昨日は元築地市場長ら4人、昨日は豊洲移転問題に深く関わっていたとされる浜渦武生・元副知事に続いて、最終日の今日は大物、石原元知事が証言台に立った。
約1時間半に亘り都議会議員の質問に応えていたが、2日に記者会見で述べた内容から新たな事実が明かされたとか、事態が大きく変わったというような証人喚問ではなかった。元知事は都政トップとしての責任は感じているが、細かい点については担当者に任せたとか、記憶にないと押し通して解明に前進はなかった。結局大山鳴動だった。
石原氏が逆にきつい言葉で言ったのは、早く豊洲に移転すべきだということで、小池百合子現知事がいつまでも決断しないことを強く批判していた。安全・安心との風評に専門家が証明した科学的な事実が負けてしまうのは、文化的な国家ではない。なぜ早く豊洲に移転しないのかということだった。折角出来た施設を使用しないことによって更に無駄な費用が使われると厳しく責めていた。
この証人喚問は普く関心が高く、すべてのテレビ局がその様子を生中継していたので、ずっと観ていた。質問した都議6人のうち冒頭の2人は自民党員で、やはり遠慮があるのか、石原元知事以前は赤字だった都財政が、石原知事になって以降黒字に転換した功績を評価したり、他にも元知事の実績を称賛してなれ合いのような場面を見せつけていた。これではまともな質疑にならない。石原元知事の子息、石原伸晃・経済再生大臣が前自民党東京都連会長だったことも影響しているのか、自民党質問者にはどうも腰が引けているような印象を受けた。他の野党質問者もあまり的を射た質問をするわけではなく、全体として中身のない証人喚問だったと思う。冒頭に知っていることは包み隠さず述べるとの宣誓は、空手形に終わったようで、これでは証人喚問を行っても大して意味のあるものではなかった。この証人喚問は何を聞きたいのか、目的がどうもぼやけていたように思う。
来る23日に国会の証人喚問に出席する森友学園の籠池泰典理事長に言い逃れするヒントを与えることになったのではないかと心配である。