国内外にややこしい問題が起きている。国内ではこのところ毎日話題になっている学校法人森友学園・籠池泰典理事長の動静が一際注目を浴びている。昨日はわざわざ上京し、外国人特派員協会で記者会見を行う予定だったが、直前になって一方的にキャンセルするいつもながらの非礼な行動を取った。その代わりにノン・フィクション作家と称する菅野完氏が代理会見をして、理事長は子息ともども夜には大阪へとんぼ返りしてしまった。菅野氏の会見は真偽を取り交ぜ、秘密性を帯びた話の中味を窺わせる。これがまた新たな話題を呼んでもつれそうだ。
そして今日建設中の学園敷地前で聴き取り調査に訪れた与野党国会議員に、理事長が大きな声で説明していたが、テレビには会話を邪魔するような意図的で不快な妨害音声が流され、充分聴き取ることは出来なかった。それと同時に小池晃・共産党書記長、福島瑞穂・社民党元代表、森ゆう子・自民党議員ら大物与野党議員が理事長宅へやって来て理事長を交えて長い間会談していた。その結果昨日菅野氏が新たに学園設立に関係した閣僚がいると語りながらもその名前をぼかしていたが、今日安倍首相から学園建設資金として寄付金百万円を受領したと理事長サイドから暴露された。それがきっかけとなり、結局自民党はこれまで拒否していたが、民進党との間で籠池理事長の国会証人喚問を行うと決めた。この問題はこれから先どうなるか見当がつかない。
更に学園と関係ありと見られている稲田防衛相が責任を問われる問題が浮上した。防衛省内の自衛隊南スーダン部隊の日報について、一度は廃棄したと公表されたが、統合幕僚監部に残っていたことが分かった。だが、実は一度は廃棄したと防衛相が認めた日報が、自衛隊の手元にも残っていたという訂正発言があり、その隠蔽体質と大臣の監督責任が問われ出した。野党は大臣の資格なしとして稲田防衛相の辞任を求めている。これもこれから後へ引きそうだ。
海外では2つ大きな話題がある。ひとつは、トランプ大統領が署名した6カ国からの移民受け入れを一時禁止する大統領令が、ハワイ州連邦地裁が全米で執行を停止する決定をしたことである。これで移民、難民の入国に制限を課した大統領令は、7カ国から6カ国に変わったが、それも受け入れられず2度目の執行停止となった。トランプ大統領はこれを不服として最高裁まで争う考えを表明したようだが、トランプ政権にとっては厳しい道のりになったと言える。
もうひとつの話題は、オランダで保護主義に基づき移民、難民を含む異民族の受け入れを拒否しようとするウィルダース自由党党首らオポチュニストの勢いが、昨日の総選挙でひとまず頓挫することになったことである。一時は、世論調査で首位に立ってウィルダース自由党党首については、このところ連日テレビでそのアジテーションの様子が伝えられていた。今回の選挙は、オランダ国民のみならず、全欧州でも格別関心が高く、投票率も81%となった。結果は、現与党のルッテ首相率いる親EUの中道右派・自由民主党が40議席から32議席へ減らしたが、ひとまず第一党を維持することになった。
アメリカのトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」や、移民締め出しの保護主義、イギリスのEU離脱などに勢いを得て、この後フランス大統領選挙やドイツの選挙に影響を与えると見られたオランダの結果が注目されたが、取り敢えず保護主義の勝利と発展を抑えた。
しかし、前途は内外ともに多事多難である。