政治家の言葉の軽薄さと虚偽に関して今国会において稲田朋美防衛相の発言がもめているが、防衛相の終始一貫しない説明の底が割れて来たように思う。
問題になっている学校法人森友学園がかつて起こした民事訴訟で、原告側代理人弁護士として稲田防衛相はまったくタッチしていないと発言した。しかも、大阪府に提出した書類に顧問弁護士として名を連ねていたにも拘らず、関与しなくとも名前を載せることはあり得るとまで強弁していた。一方で森友学園・籠池泰典理事長はテレビ・インタビューで、明確に稲田防衛相と親しい関係にあり、何度も会っていると述べた。防衛相はこの真っ向から対立する発言まで否定していた。
ところが、民事訴訟の口頭弁論で原告側代理人弁護士として出廷したことを示す大阪地裁の記録があると分かった。これについて、自分は(弁護士の)夫の代わりに出廷したのではないかと推測しているとまるで他人事のような応え方をしている。明らかに嘘をついていたわけで、これに対して謝罪はしたが、自分の記憶に基づいた答弁だったと強気の応えで、これまでの発言は間違っていないとまったく反省の姿勢を示す気がないようだ。
こんな自己弁護的な言い分が一般社会で通用するとでも思っているのだろうか。常識的にもおかしい。野党は辞任を要求するようだが、与党は菅官房長官がまったく問題ないと応えるし、二階幹事長も辞任する必要はないという考えである。首相周辺ではすでに森友問題で首相自身に傷がつきかねず、ここで稲田防衛相の言動に疑念を抱かせるわけにはいかないのだろう。とにかくこのまま事態を収めたいというのが本音であろう。
稲田防衛相は、南スーダンへの自衛隊派遣についても現地の実情に精通しないことを暴露して、そのうえ野党の質問にも対応出来なかった。防衛相としても力不足を露呈したが、ひとりの政治家としても資質に欠けることが明らかになった。こういう人物を安倍首相以下政府がいつまで庇おうとしているのか不思議である。いずれにしても、政治家のレベルはあまりにも低い。いつもながら思うことだが、こういう政治家たちに大事な国政を委ねて大丈夫だろうか。日本の政治家は、官僚上がりと世襲政治家ばかりで自分で勉強し、自らの力で道を開拓した志の高い政治家はほとんどいない。嘆かわしいことである。いつになったら森友学園自体の問題と、森友に関連する安倍首相夫妻と稲田防衛相への疑念は氷解するのだろうか。