今日から爽やかな五月である。5月1日と言えば、かつてはメーデーとして労働者が華やかに通りを歩いてはシュプレヒコールを上げ、代々木公園に集合して社会党や共産党、或いは総評幹部らの激励を受けて賃上げを勝ち取るぞと威勢の好い雄叫びを挙げていたものである。それがいつのころからか、静かなメーデーとなり、新聞でもテレビでもメーデーについてほとんど触れられない時代になってしまった。
それは東西対立の雪解けから、ソ連や東側諸国の社会主義体制が崩壊したことが何といっても大きい。カリスマ的に労働者が最も敬われていた社会主義国家における体制崩壊により、徐々に労働者が現実社会の混乱に巻き込まれ、厳しい生存競争に追い詰められ右往左往している間に力を失っていくことになった。一方で社会主義体制を打ち破った資本家は、経済発展の過程で利益を上げることに注力し、そのおこぼれを賃金アップという形で労働者に還元して従わせた。飼いならされた労働者は、スト権を放棄して従順な飼い犬となった。この変化が近年の静かなメーデーとなった労働者の根底にある行動パターンである。
経済力の向上とともに、富める者と貧しい者との格差はどんどん広がっていく。対資本闘争や反体制デモが巷に見られなくなった原因は、労働者が幾ばくかのお小遣いをいただくことに甘んじて、以前より豊かな暮らしを送ることができるようになったからである。しかし、実際には資本家と労働者の貧富格差は年々拡大しているということを知っておくことが大切である。
新聞、テレビでほとんど報じられなかったが、ネットで情報を得たところによると今日代々木公園で開かれたメーデー中央集会では、次のようなメインスローガンを掲げていたようだ。
・戦争法廃止 立憲主義、民主主義を取り戻せ!
・明文改憲反対 STOP!安倍「暴走」政治 戦争法廃止へ野党の選挙協力を
・なくせ貧困と格差 大幅賃上げ実現で景気回復
・いますぐ最賃1000円に 全国一律最賃制の実現
・壊すな「8時間労働」 労働法制改悪反対、働くルールの確立
・年金・医療・介護など社会保障制度の拡充
・消費税10%増税の中止 TPPの国会承認反対
・被災者が希望の持てる復興 原発の再稼動反対 原発ゼロの日本
・集団的自衛権の行使容認撤回 特定秘密保護法の廃止と共謀罪・盗聴法反対
・安倍「教育再生」ストップ
・辺野古新基地建設反対 オスプレイ配備・訓練反対
・核兵器の全面禁止・廃絶
ちょっと欲張り過ぎているし、やや現実感には欠けるような気もするが、どうだろうか。