昨年8月に天皇がご高齢による健康上の理由で、生前退位の意向をビデオ・メッセージで公表されてから有識者会議などでいろいろ検討されたようだが、ことがことだけに早急な結論を公式に発表することもなく、政府には少々及び腰の動きがあっただけである。
それが、突然のように今日の朝刊各紙で天皇退位について報道された。まだ詳細が決まったわけではないが、①2018年1月1日に皇太子殿下が新天皇に即位し、②その日から新たな元号とする方向で新たな検討に入った。天皇が日本中にビデオで心中を披歴して、国民の理解を得ようとされた気持ちを漸く汲んでくれたというところである。この間にも両陛下は公用で全国各地へお出かけになっておられる。現在天皇は83歳になられ、美智子皇后は82歳でかなり多忙で過重なお役目を果たしておられる。これらのお役目から少しでも解放してあげることが出来ないものかと、心ある国民は思っている。聞くところに依れば、2月末からベトナムとタイへお出かけになられるという。昨年はフィリピン、一昨年にはパラオ諸島に戦没者の慰霊に出かけられた。暑い国々なだけに、ご高齢の両陛下にとっては余計身体的に負担がかかるのではないかと思う。
取り敢えず、ある程度方向性が決まったので、とにかく両陛下にはご無理をされず、ほどほどにお役目を務めていただきたいと願っている。
さて、2期8年間アメリカの大統領を務めたバラク・オバマ大統領が20日の退任を控えてホワイトハウスではなく、弁護士としてスタートしたシカゴの地で最後の演説を行った。8年前の就任時は‘Yes, we can.’の決まり文句で黒人大統領として颯爽と登場した時、国内外から大きな期待が寄せられた。私もそのひとりである。その大統領就任の年にノーベル平和賞も受賞された。結果としては期待したほどの実績は残せなかったが、常に話し合って事態を解決しようとの意気込みは感じた。却って対立するような結果も招いたが、それは相手もいることだし止むを得なかったのではないかとも思っている。任期8年間にアメリカの失業率が減少したことが最大の実績として評価されているが、それより私は半世紀以上に亘って続いていたキューバとの国交断絶を復活させたことと、医療保険改革制度(オバマ・ケア)の実現だと思っている。
オバマ大統領は後任のトランプ氏に対して、多様性を受け入れるよう求め、移民への強硬姿勢やイスラム教徒への排他的態度を牽制した。最後を飾るに相応しいインテリらしい説得力のあるスピーチだったが、これが無頼漢のように喚き散らす暴言王トランプ大統領になって、この後アメリカはどう変わるのだろうか。アメリカ国民、アメリカの政治や外交、メディア、産業界なども些か劣化しているような空気があり、心配で見ていられない。