3529.2017年1月10日(火) 益々ヒートアップするトランプ砲

 今日ドイツから航空便を受け取った。ところが、封筒がビニール袋に入れられて、少々異様な形になっている。よく見ると封筒の裏面が大きく破れて中から便箋がこぼれそうになっている。それを防止するためにそのビニール袋に収めたのだ。ビニール袋の裏面には、親切にも英仏独語で説明文が書いてある。英語では‘Regrettably, the item was damaged and has therefore been provided with a plastic cover by the Deutsche Post.’(お気の毒ですが、この品目は傷ついていますので、プラスティック・カバーで手当てしました。ドイツ郵便局)というようなことが書かれてある。リューデスハイムに住む友人からの手紙である。もう40年以上も交誼を続けている親しい日本人で、かつてはドイツで専門知識を有する通訳を必要とする場合いつもお願いしていた。手紙には年賀状風に、ドイツ人の奥さんが父親の面倒見に追われているが、一時深刻だった友人自身の心臓機能は正常に戻ったとホッとさせる内容だった。昨年11月には息子さんがドイツ人女性と結婚したとの明るいニュースも書き添えてある。ドイツでは今難民流入がトラブルを引き起こしているが、彼も察するところ難民を受け入れるメルケル首相の政策にはあまり賛成を示していないようだ。だが、1年に1度であるが、ドイツ人になり切った友人からドイツ人の本音を知ることが出来るのは有難いと思っている。

 それにしても、封筒の破れた個所にセロテープで留めれば充分だと思えるのに、ドイツ人というのは何と厳格な几帳面さを持っているのかと感心する。

 さて、アメリカでは間もなくドナルド・トランプ新大統領が誕生する。普通の常識人とはかけ離れて型破りの放言王にして、人種差別論者である。そのトランプ氏が間もなくアメリカ、否世界でも最高の地位に就くからアメリカ内外でトランプ氏に対する評価は賛否両論である。

 昨日は、映画のゴールデングローブ賞を受賞した女優のメリル・ストリープさんが、選挙戦中に障害者の記者をからかう真似をしたと授賞式でトランプ氏を批判した。会場にいたゲストも深刻な顔をしてストリープさんのスピーチに耳を傾けていた。これに対してトランプ氏は直ちに得意のツィッターで反論したが、どうも批判されると言い返すだけの行為自体が子ども染みている。そうかと思うとホワイトハウスの上級顧問に娘婿クシュナー氏を起用すると発表した。クシュナー氏自身は優秀な人材のようだが、ホワイトハウスや政府の要職には、「反縁故法」という法律で身内を任命出来ないことになっている。それに対して無給で職に就くという。それなら法に違反しない。でも、無給なら身内でも良いのか、大金持ちなら身内を要職に就くことが出来るのかという疑問は残る。それでは、「反縁故法」なんてあってないようなものだ。どこまでも型破りのトランプ氏に対してこんな状態で4年間も世界が我慢出来るだろうか。

 ことは海外でもトラブルを起こしつつある。現在中国が「中国は一つ」との建前で、他国が台湾の領袖に接触することを警戒しているが、ラテン・アメリカ諸国を訪問中の台湾の蔡英文・総統が近日帰途トランプ氏に会うのではないかと神経を尖らせている。

 また、ここ数日トランプ氏のメキシコへ工場を新設する自動車メーカーへの非難がヒートアップしている。フォード社が降参し、フィアット・クライスラー社も白旗を掲げた。トヨタはメキシコから撤退せず、アメリカ国内で雇用を増やし、今後5年間で1.1兆円の投資をすると公表している。トランプ対車メーカーの勝負はどうなるだろうか。また、他の産業分野で似たようなトラブルが起こらないだろうか。近来稀な人騒がせ男である。

2017年1月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com