日韓両国間にまた険悪な空気が漂ってきた。日本政府は釜山市民の慰安婦少女像設置について、韓国政府が一昨年12月の日韓合意に沿った適切な行為を取らなかったことから、長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事の一時帰国、通貨交換の再開に向けた協議の中断などを実行すると通告した。
ことの始まりは、韓国市民団体が釜山にある日本総領事館前の公道に従軍慰安婦を象徴する少女像を設置したが、釜山市が取り去ったところ市民の抗議に屈して市が少女像の設置を認めてしまった。これに対して日本政府が日韓合意に反すると抗議したところ、韓国政府は地方都市の問題であるとして取り合わなかったことがことを大きくした。未だにソウル市内の日本大使館前には同じ少女像が設置されたままで、日韓合意で撤去するという約束が守られていないところへ、新たに釜山の日本総領事館前に下品な慰安婦像を設置したことに日本政府として遺憾の表意以上に強い行動に出たものである。
この日本政府の対応に対して、オウム返しに韓国政府が遺憾の意を表明する有様である。日本政府は日韓合意に伴って韓国にすでに10億円まで支払っている。事態は急速に冷え切って厳しい東アジアの中で、安保問題が憂慮されている。朴槿恵・大統領の不在でリーダー不足の韓国は今やレームダック状態である。韓国政府は、もう少し大人の対応を取れないものだろうか。
さて、久しぶりに花園ラグビー場で開催中の全国高校ラグビー決勝戦のテレビ中継を観た。昨年度優勝校の東海大仰星高に対して、一昨年優勝校・東福岡高FWの激しい肉弾戦が面白かった。結局1トライ、1ゴール差の28-21で東福岡高が2年ぶり6回目の優勝を飾った。同校は昨年サッカーで全国優勝を飾ったが、全校でスポーツに力を注いでいる。全国から選りすぐった部員を集め、総数は106名もいるというからレギュラー選手になるのも大変だろう。監督の話では、FW8選手の平均体重が100㎏を超えるというから大学級でスクラムの押しも強いわけだ。
今や学校の名を高めるための大きな手段として、運動部が活躍することが大きな目玉となって有利に働いている。従って学区制のある公立校では、そんなことはできない。私立強豪校のやり方が良いか、悪いかは何とも言えないが、つい最近も日大東北高柔道部内でコーチ講師による暴力事件が発生したばかりである。強くするためにやったことが暴力行為だとしたら、学校スポーツとは言えないと思う。関係者はその辺りを充分考えなければならない。全国から実力ある中学生を集めて、運動部が強くなっても暴力が蔓延ったり、そのスポーツをやったこと自体がその後の人生において何の役にも立たなかったのでは本末転倒ではないだろうか。
強豪高校同士の試合を観ていてふっとそんなことが思い浮かんだ。