いよいよ大つごもりとなった。風もなく、空は晴れているが、やはり外は寒い。今日で2016年も終わりである。年々歳々国内外の政治は大きな問題を抱えるようになっている。シリア内戦による難民問題、その影響で頻発するテロ、中国の海洋進出問題、キューバ革命の指導者フィデル・カストロの死、そして今年最大の話題は何と言ってもアメリカの次期大統領にトランプ氏が選ばれたことと、イギリスのEUからの離脱である。
一方国内的には、天皇退位問題、沖縄と政府との対立に発展したオスプレイ飛行や基地移転問題、中韓のみならずアメリカからも非難されている稲田防衛相の靖国神社参拝、2020年オリンピック開催費用負担問題、豊洲市場移転など問題が山積している。
来年果たしてこれらの問題をどれほど解決させることができるだろうか。海外では、トランプ氏のアメリカ大統領就任後の言動が気になるし、国内では天皇の退位について、天皇のお気持ちに沿った明確な答えが出されていないことが気がかりである。そして、日本政府と沖縄県の対立がどうなるのかが気がかりである。少しでも対立の棘が取れれば良いのだが・・・・。
さて、久しぶりに半世紀前を振り返ってみた。このころから私の武者修行人生が始まった。1966年の今日、バンコックからジャカルタへ飛んだ。夜遅くジャカルタ空港からタクシーで市内のホテルへ向かう途中、暗闇の一角に車を停めたドライバーから、半ば強制的に外貨交換をさせられたことが思い出される。私にとっては初めての海外旅行だった。ジャカルタは荒れていた。3か月前に軍事クーデターによりスカルノ大統領がスハルト中佐に実権を奪われ、翌年3月にはスカルノ大統領がその座を追われスハルト中佐が大統領に就任した。昼日中現地の強盗に襲われたり、他にも怖い経験をした。その後シンガポールへ立ち寄ってから、戦時下のサイゴンへ飛び、戦争の臨場感を知ったことが、そもそも海外武者修行にのめり込むきっかけとなった。
爾来第3次中東戦争の戦場を歩いて戦争の臨場感を身体に感じながらスエズ運河で警察に、アンマンで軍隊に身柄を拘束されるなどやや無鉄砲と思われるような行動をやってしまった。しかし、そのお陰で内戦中のアデン(現イェメン共和国)独立後入国した最初の日本人となった。シベリア大陸を横断したり、旧樺太のサハリンを旅したり、ケニアを列車とバスで横断したり、ガダルカナルやラバウルの海底に潜ったり、度々ビルマ(現ミャンマー)を訪れたり、最近では社会主義国キューバを歩いて本物の社会主義国家というものも知った。幸い身に付けた臨場感覚を活かしてアフガンとパキスタンの国境カイバル峠で、N.Y.同時多発テロを予感したり、身体感覚、臨場感で世界的な大きな動きを予知する能力を些かなりとも身に付けたように思っている。
あの50年前には海外をぶらぶら旅している日本人にはほとんどお目にかからず、どこでも珍しがられたものだ。それが、今では特に年末年始になると多くの日本人が海外旅行を楽しむようになった。時代は大きく変わったのだが、政治の後進性だけは相変わらずである。
近年まったく面白みのなくなったNHK紅白歌合戦はほどほどにして、他の番組を観た。
私自身まだまだ健康で、チャレンジャー・スピリットが衰えないうちは、前向きに進みたい気持ちを披歴して、除夜の鐘が鳴る2016年にさよならと言いたい。
来年2017年も健康で楽しい思い出が持てるような1年でありたい。