今朝の日経紙「日曜に考える」欄に日経政治部記者が選ぶ10大ニュースというのがある。国内外の今年のトップニュースをランクしたものである。だが、どうも素直に受け取れない選出である。
因みに上位10をリストアップしてみると、
1.天皇陛下、退位の意向
2.米大統領選でトランプ氏が当選
3.オバマ大統領、広島訪問
4.消費税率10%への引き上げ、2年半延期
5.英国の国民投票でEU離脱が決定
6.参院選で与党勝利、衆参両院で「改憲勢力」が3分の2に
7.プーチン氏が来日、北方4島での日ロ共同経済活動で合意
8.安倍首相が米ハワイ・真珠湾訪問へ(12月26~27日予定)
9.自民党が党総裁任期「連続3期9年」を了承
10.選挙権を「18歳以上」に引き上げる改正公職選挙法が施行
これを一目見てそうだろうかとすんなり納得できるだろうか。首を傾げて素直には納得できない。トップの天皇退位の意向にせよ、天皇のお気持ちが酌まれて退位が決まったわけではなし、つい一昨日の有識者会議で一代については考慮するにしても、その後恒久制度化は要件の設定が困難だとしたようにあいまいな決着となったばかりである。4.や9.にしても、これ以上に重要視されるニュースは他にいくらでもあると思う。例えば、キューバのフィデル・カストロの死、朴槿恵・韓国大統領の弾劾訴追、フランス・ニースにおけるトラック突入事件で90名近くが犠牲となったテロ事件、ヨーロッパの難民流入事件、等々他にも数え挙げればきりがない。
この選出リストをコメントするなら、日経紙の政治部記者というのは、国際政治についてはあまり取材経験がなく、実情を知らないのではないかと思う。現場に出向かないからニュースに切実感を持って受け入れられないのではないか。政治部記者には、もっと優秀な記者がいると思われる朝日でも海外特派員の取材には疑問を感じることがしばしばある。びくびくしながら取材に歩いたり、ニュースの後追いをするようでは価値あるニュース・ソースへ辿り着けることは難しいということがよく分かっていないようだ。
こんな感覚で国際ニュースを伝えようというのは、少々おこがましいのではないだろうか。