3501.2016年12月13日(火) 明後日山口県で日ロ首脳会談

 明後日ロシアのプーチン大統領が来日して安倍首相との日ロ首脳会談が、選りによって首相の地元の山口県長門市で開かれる。今朝の朝日「天声人語」に、下関では日清戦争の講和条約が結ばれた経緯があり、今回の会談が「領土返還を決めた長門条約」として実を結べば、教科書に載るという穿った見方まで出ている。教科書に載れば当然ながら条約署名者の名が残る。首相はそこまで読んでいたとは書かれていないが、その点を考えていることは明らかである。強引にも首脳会談を自分の選挙区に持ってくる、安倍首相の腹はどこにあるのか。両首脳ともこの会談にかける意気込みはかなり強いようだが、もちろんお互いに思惑があってのことである。

 ロシア側としてはシベリア開発に何とか日本の協力を引き出したい。そのためにロシア流に北方問題をちらつかせて日ロ平和条約締結へ一歩進めたい。ロシア側からは、やたらにシベリア鉄道延伸など壮大な計画や、サハリンから北海道を結ぶ鉄道路線まで話題として持ち出されているくらいである。今や原発がデッドロックに乗り上げているような状況下で、火力発電用の石炭が産出されるシベリアから、それを輸出するために港湾、鉄道網の整備がロシア側の狙いのようだ。そんな鉄道網は日本ではペイしない。一方、日本はシベリア開発の経済協力を謳ってはいるが、本音は北方領土の返還問題である。だが、過去のロシア側の主張を考えるとすんなり領土を返還する気はロシアにはない。2島だけでも返してもらえれば御の字という政府筋の考え方もある。

 元より4島は日本古来の領土であり、いかにプーチン大統領が4島は戦利品との持論を主張しようとも理は日本にあると思うが、最近の北方領土の様子や、ロシア人住民の声などから判断するなら、北方領土4島の一括返還は極めて難しいのではないかと思う。森喜朗元首相が今朝の新聞で、物には順序があり、一気に4島というより、まずその前に2島返還を求めて、その後に残る2島の返還を要求する方が現実的だと述べていたが、相手が百戦錬磨のプーチン大統領だけに、そううまく行くだろうか。それに世間知らずのお坊ちゃん首相が渡り合えるのか、心配な面がある。

 今から26年前サハリンを旅し、14年前にシベリア鉄道でシベリアを横断したが、ロシアの素朴な自然が溢れる広大な国土に身を置いてみると、細事には捉われず、思い切った決断をやってみるという発想が湧いてくるような気がする。安倍首相は、自分が首相在任中に領土問題に決着をつけるつもりだと述べているが、精々したたかなプーチンに手玉に取られないよう、気をつけてほしいものだ。

2016年12月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com