3497.2016年12月9日(金) 朴槿恵大統領の弾劾可決される。

 先月来激しくなっていた隣国・韓国における朴槿恵大統領退陣要求デモが最高潮に達した今日、国会において大統領弾劾訴追案が可決された。朴大統領は直ちに職務停止となり、その職を黄教安首相が代行する。この後憲法裁判所が180日以内に大統領の罷免が妥当か否かの審判を下すことになる。

 国会議員300人のうち弾劾案に賛成した議員が234人だから、可決に必要な2/3の200人の賛成を得るには、野党と無所属で172人だからあと28人が必要と言われていた。それが与党セヌリ党議員128人の内、ほぼ半数の62人が弾劾案に賛成したということになる。1987年民主化以後不名誉な弾劾可決がなされたのは廬武鉉元大統領以来2度目である。廬武鉉氏の場合罷免の審判は下されず、弾劾による失職とはならなかった。だが、朴大統領の場合は、国民の批判も強く、支持率も4%という不人気ぶりなので、果たしてどんな審判が下るだろうか。

 6年前に韓国を訪れた時、ガイドから歴代韓国大統領の中で最も人気が高く人望があったのは、朴槿恵大統領の父・朴正熙大統領だったと意外なことを聞いた。父親は軍人で強面だったが、私利私欲がなく資産はほとんどなかったという。キューバのカストロと同じだ。娘の大統領は両親が暗殺された不幸に加えて、父が国民から尊敬されていた朴槿恵大統領には、国民から同情と親愛の情が寄せられていた。そこを民間人女性を信用し過ぎてつけ込まれ、その女性のスキャンダルから朴槿恵大統領へ不信感が広がり、最高権力者の地位を任期途中で去らねばならない恐れがあることは屈辱であり、耐えがたいことだろう。

 朴大統領は李下に冠を正すことができなかったようだ。両親を公衆の面前で殺害されながらも、その後常に政界の中枢に身を置き、心が休まることはなかったと思う。そんな寂しい心の隙間に立ち入ったのが、1人の民間人だった。例え1人になろうとも、例え寂しくとも、周囲からとやかく言われないよう身を処していかなければならない。それが国政を任された大統領の責任だと思う。そこに朴大統領の油断と弱みがあったと思う。

  朴大統領が職務を停止されたことにより、近々東京で予定されていた日中韓首脳会談の行方が不透明になってきた。

2016年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com