3494.2016年12月6日(火) 安倍首相、真珠湾で戦没者を慰霊

 安倍首相が今月26、27日にハワイ真珠湾攻撃による犠牲者を慰霊するため、オバマ大統領とともに戦艦アリゾナ記念館を訪れることが決まった。大東亜戦争開戦から今年は75年目を迎える。首相の訪問は今年5月オバマ大統領が広島を訪れ、原爆犠牲者に慰霊されたことに対するお返しのような形で、相手国の犠牲者を慰霊するため両国の代表者がお互いに訪れることが日米同盟の絆を深める意味でも効果的であると考えられた結果だと思う。

 それでも広島、真珠湾のいずれの慰霊式典でも、相手国に対して謝罪の言葉を述べることはない。いかなる大きな被害を与えても、悪かったのは自分たちではなく相手国だとの思い込みが強いからである。

 この点については、先月亡くなったキューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長は、まったく異なる考えを持っていた。それは、開戦の口火となった真珠湾を電撃的に攻撃した日本に大きな反省すべき点があると述べていたが、その後広島を訪れ悲惨な原爆投下の実態を知るに及んで、敗戦目前の相手国に人間としてこれほどまでの残虐行為を行うのかと絶望的なショックを受け、以後カストロの反米感情もあるが、アメリカ政府は日本政府、並びに日本国民に対して謝罪すべきであると主張していた。オバマ大統領の広島訪問の折には、アメリカ政府を代表して謝罪しないのは許されないと述べていたほどである。

 アメリカ国民の間には、原爆投下を擁護する声が根強くあり、謝罪すべきではないとの空気が受け入れられている。そんな状況下では当然安倍首相や日本政府としても真珠湾で謝罪の意図はない。その意味で、真珠湾にお参りするのが刺激的な開戦日12月8日でないことは、あらぬトラブルを避ける意味でも良いのではないかと思う。

 この件については、真珠湾攻撃で戦没されたアメリカ人兵士の遺族の間では、まだ相当日本に対する恨みが残っているようだ。一方フィリピン・レイテ島で戦没された日本人の遺族にとっては、首相は真珠湾より靖国神社へお参りすべきだと言う声がある。罪もない市民を無差別に殺すような戦争に正義なんてないと思うが、遺族らにとってはいつまでも身近で暗く深刻に引きずっているのだと思う。

2016年12月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com