3468.2016年11月10日(木) トランプ情報に引きずり回される。

 昨日結果が出たアメリカ大統領選挙の後追い情報を、メディアは今日も追い回している。アメリカ国内でもこの結果が意外に思われている様子に、アメリカ人というのは何を望んでいるのか分からないところがある。実際ニューヨーク五番街のトランプ・タワー前にはデモを警戒する警備が張り巡らされ、一方では早くも首都ワシントンを始め、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどで反トランプ・デモが市街を練り歩いている。クリントン氏の勝利を願っていた彼らには、この番狂わせが中々納得できないようだ。

 まだ3州で最終結果が公表されていないそうだが、選挙結果は選挙人獲得数でトランプ氏が過半数を獲得してルール通り大統領に決まった。だが、驚いたのは一般投票の得票数ではクリントン氏の47.7%に対してトランプ氏は47.5%で、僅かながらトランプ氏はクリントン氏に及ばない。民主主義では、一人ひとりが同じ価値のある一票だと考えるから、実際に獲得した票数からすればクリントン大統領誕生となるわけである。日本ではとても考えられず、分かり難い選挙人団制度(Electoral College System)という特異なシステムのせいでクリントン氏は涙を飲んだことになる。

 実は、同じような投票結果は過去にもあった。2000年に民主党のアル・ゴア氏(48.4%)が共和党のジョージ・ブッシュ氏(47.9%)に一般投票で勝っていながら、獲得選挙人数で負けたためにブッシュ氏が大統領になった。

 このシステムについては「選挙制度が果たして民主的かどうか」という点で、かなり反対の声が多いようだが、アメリカ合衆国憲法では大統領を直接選挙で選ぶ権利は規定されていないため、制度を改正するためには、憲法を改正することがその前提となるらしい。現状の制度で選ばれた暴言大統領と互角に渡り合うのに各国ともこれから苦慮しそうだ。

 17日に安倍首相がペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席の途上ニューヨークへ立ち寄りトランプ氏と会談する。いつも動きの遅い日本政府としては素早い対応だが、すったもんだの末間抜けなタイミングで今日になって衆議院でTPP法案を可決した日本側の立場からすれば、当初からTPP反対を唱えているトランプ氏とは最初からぶつかることになるのではないだろうか。

 夜のNHKニュースではトランプ氏の暴言の影響を心配する声を伝えていた。ひとつは、アメリカの小学校で移民の子どもたちがトランプ氏の発言を使っていじめられて、教師と保護者が心配していたことである。もうひとつは、国際政治学者イアン・ブレマー氏がトランプ氏のアメリカ第一主義はグローバリズムと矛盾し、自国のことばかり考えて今の中国に似た言動を行うようになると警告していたことが印象的だった。

 昨日大幅に値下げした東証日経平均株価は、昨日の大幅な下げ幅を上回る1,092円の大幅値上げで昨日の値下げ分を取り戻した。これは昨日日本の反応とは逆に大きく値を上げたニューヨーク株式に影響されたせいだろうか。外為市場でも円相場は105円と3ヶ月半ぶりの円安水準となった。証券市場も素人にはよく分からない反応を示すようになった。

2016年11月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com