236.2008年1月5日(土) アメリカ大統領選挙とパリ・ダカ中止

 一日明けて今朝の新聞は、米大統領選挙党員集会の結果を大々的に報じている。大統領選指名争いにおける緒戦で、ヒラリー・クリントンが敗れた衝撃はかなり大きいようだ。キーワードは「変化」「希望」「脱ブッシュ」「統合」であり、そこに見られるのはブッシュ政治に対する批判、新しい風への期待と流れ、そして実行力への信頼ではないだろうか。日本と異なるリーダー選出の過程で、市民が意見を戦わせ合意を形成していく流れは、談合と投票だけの日本のそれとは確かに違う。若いオバマ氏の考え、人柄、行動、弁舌等が徐々に受け入れられ、支持者の間に彼の考えが浸透していく。一方で、日本スタイルは本日付「天声人語」氏によれば、「福田首相の口ぶりは評論家を思わせ、『ひとごと感』さえ漂う」。アメリカは原色の自己主張を塗り重ねた油絵だが、日本の政治風景は水墨画的であるとまでいう。日米の政治風土やメディア観は違うが、少なくとも弁論で切り結ぶ覚悟がなければ、どの国の有権者もついて来ないと厳しく断じている。

 まだ、先行きは不透明だが、オバマ氏が一気に活路を開くのか、はたまたヒラリーが巻き返すのか予断を許さない。3日後にニューハンプシャー州予備選挙があり、これでオバマ氏が勝ちを制するようだとオバマ・ブームを巻き起こし、一気に突っ走るかもしれない。現在60歳のヒラリーはすでに既成候補者と見られ、NYタイムズ紙は「指名獲得は既定の流れだと示そうとする(クリントン陣営の)戦略はズタズタになった」とまで指摘している。失地回復を目指し、劇的な戦略の変更を考えざるを得ないヒラリー陣営にとっては、小さなつまずきであったかも知れないが、負けゲームへの大きな落とし穴になる可能性がある。

 60年代初めに若き無名?のJ・Fケネディが瞬く間に躍り出て指名を獲得し、そのまま米大統領まで上り詰めていったドラマが思い出されてくる。ニューハンプシャー州の予備選に続く、ニューヨーク州、カリフォルニア州など22州で予備選と党員集会が開催される、来月5日(火)の「スーパー・チューズデー」で、ある程度方向が決まるのではないか。世界の指導者を決めるイベントだけに、こればかりは単に他国の選挙と言って指をくわえて見ているわけにはいかない。当分の間、気がもめることである。

 さて、今日から開催の予定だった「パリ・ダカ」ラリーが昨日になって主催者側が急遽中止と発表した。だいぶ前からこんな環境破壊、住民虐待ラリーは中止すべきだと考えていたので当然だと納得したが、その中止の理由は「競技に対する直接的な危険がある」とテロを警戒するものだと苦渋を匂わせた。先月モーリタニア旅行中のフランス人家族4人が殺害され、容疑者がイスラム過激派と見られ、組織がラリーを妨害する恐れがあるからと初めて世界的ラリーの中止に踏み切った。

 日本人の間にも人気のあるラリーで、過去にも日本人レーサーが優勝し、そのひとりである増岡浩選手のごときは「残念でならない」と嘆いているが、自宅前でこんな埃っぽいラリーをやられる住民の気持ちを考えたことがあるだろうか。この凄まじいラリーの乱暴な走行ぶりを見て呆気にとられたことがある。言ってみれば、自動車の耐久レースであり、車メーカーの宣伝の場と化している。車を製造するメーカーの国で堂々とやるならともかく、貧しいアフリカにつけこんで大金をばらまき、特に今回問題になったモーリタニアを中心に何百台の車がガソリンを撒き散らし、埃を巻き上げ、砂塵をあげて、草木をなぎ倒し、道なき道を走りまわり、砂漠を壊し、住民を騒音と埃まみれ追いまくっている。ついに、パリで走れず、今年はリスボンからダカールまで走行する「リス・ダカ」計画だった。こんな気狂いじみた環境破壊で住民いじめのイベントは、「地球温暖化防止」、「地球環境保全」の今日、時代のテーマにそぐわない。もう止めるべきである。これを中止に追い込んだ「イスラム・マグレブ諸国のあるかいだ組織」(AQIM)に対して拍手、ハクシュ~、改めて拍手である。

2008年1月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com