241.2008年1月10日(木) 出版社のレベルダウンは必至

 昨日のテレビ、今朝の新聞で中堅出版社「草思社」が民事再生法の適用を申請したと伝えた。一昨日の新風舎に次ぐ出版社の倒産である。草思社の場合はかなり知られたヒット作品を世に送ったので、やや意外な感じがした。しかし、良い作品やヒット商品をいくら販売しても、所詮後が続かないとなると、当然のことながら経営的には苦しくなる。その点で経営者が中長期的な経営計画をきちんと立て、会社と社員が一体となって事業展開を図り、読者の信頼を得て永続的に事業を続けていく志と強固な体制を構築していけるかどうかという点で、いまの出版業界には危機感があまり感じられない。

 これまで、報道内容や、発行書籍の大きな表現上の間違いについて、世間に誤解を与えたり、惑わしてきたマス・メディアは数知れない。個人的にもこれまで「ワールド企画」「NHK」「講談社」「選択出版」に対して、事実誤認や表現の誤りを指摘し、確認し訂正する約束を取り付けてきたが、この内「ワールド企画」は間違いを認めた後、まもなくして倒産した。「NHK」は当方の主張する主旨と表現上の間違いを認め、一旦は訂正し正しい表現を採用した。にも関わらず、内部の頑固な「間違い至上主義者」の声に押されたのか、性懲りもなく元の木阿弥となり、現在では各地のNHKアナウンサーは、再び間違った表現、言葉遣いのまま国民に話しかけている。これなんか典型的なNHKの老醜というべきか、視聴者を舐めきり国民の先頭に立って日本語を乱し、日本の国語教育をミスリードしているのである。「講談社」も伝統企業としてのプライドばかり高く、断固自社の間違いを認めなかった。しかし、論理的に正論を突いたらあっけなく間違いを認め、訂正すると約束した。昨夏のことである。しかし、いまだに約束した「訂正公表」は実行されていない。マス・メディアなんて所詮変幻自在の軽業師のようなもので、その場の風当たりをどう避けるかという一点だけを気にして、顧客とか消費者に対して心から悔い改めるなんてことは露ほども考えていない。

 さて、旧蝋月刊誌「選択」を出版する「選択出版」社と、同誌12月号が犯した大失態について話し合った。あろうことか、いま話題の主、ロシアの次期大統領と目されているメドベージェフ氏のブロマイド写真を他人と取り違える大チョンボをやったのである。こういうお粗末を仕出かしておいて、まったく反省も謙虚さもなく、世間に対して頬かむりしようとしている。

 昨暮当方が指摘した通り、メドベージェフ氏の写真は「取り違えたので訂正する」とのお詫びを1月号に公告すると文書による回答があった。しかるに、訂正文は発行された1月号のどこを探しても見当たらないのである。何のことはない。誤字で結んだ回答文書は、意図的な大言壮語の欺瞞だったのである。その回答文書には言い訳とともに、「購読者の方々のご意見は編集部一同真摯に取り組ませていただいております」との白々しいメッセージまで添えられていた。真っ赤な大嘘である。よくもまあこんな嘘っぱちを、誤りを指摘した顧客に言えるものだなあと開いた口が塞がらない。重大ミスをしゃあしゃあと見過ごし、大失態は世間に黙って隠してしまおうというのである。これでは、次期大統領にもなろうとするメドベージェフ氏に対しても失礼ではないか。もはやメドベージェフ氏に関するコメントや、評論は今後同誌上には書けまい。

 マス・メディアには、自分たちが世論を形成しているとの思い上がりやうぬぼれが強い。もううんざりである。こんな気持ちだから、顧客である購読者や、常識人の意見や指摘に対して謙虚で誠実な対応も取れない。加えて、スタッフはインテリが多いと一般的に信じられているが、どうしてどうして、知的レベルも彼らが意気込んで自慢するほどのことはない。文面を見ても手紙の書き方のイロハが分かっていなかったり、誤字が多く、これでは日本のマス・メディアも衰退するのではないかと他人事ながらいささか気になるほどである。

 「新しい情報誌を創るんだという心意気が編集部から失われています」とは、「選択」1月号編集員氏の嘆きであるが、これではまるで他人事ではないか。自分たちの知的レベルが急ピッチで地盤沈下していることに全然気づいていない。これが現実の出版業界の知的レベルと常識である。

2008年1月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com