273.2008年2月11日(月) 新岩国市長に米機動部隊受け入れ容認派

 昨日気になっていたビルマの民主化路線のポーズが、なぜこの時期に発表されたのかとの疑問に対して、早速今朝の朝日紙面に上智大学根本敬教授が「五輪を意識した中国の圧力」と説明している。北京五輪をスムーズに開催したい中国が、ビルマ軍政を支援しているとの国際的な非難の声を和らげる目的で、ビルマ軍事政権を説得し、譲歩を迫ったのではないかとの解説である。なるほどと頷ける。では、中国はもうひとつ批判を浴びている、スーダンのダルフールにおける虐殺事件はどう解決しようとしているのか。これには相変わらずだんまりを決め込んでいる。いま中国は、世界中で問題を起している。困ったことだ。

 昨日山口県岩国市長選挙が行われ、戦前の予想に反して岩国基地に米空母艦載機部隊を受け入れることを容認する新人、福田良彦・前代議士が、現職で反対派の井原勝介・現市長を破って当選した。これまで基地の街、岩国市は度々受け入れ容認か、反対かで揉めて、今回も移転問題の民意を問う、実に3回目の選挙である。選挙結果により、早晩機動部隊は受け入れられるだろう。

 しかし、この選挙の結果から今後の市政の難しさが予想される。全国的に高い関心を呼び、投票率も前回選挙(65.09%)を大幅に上回って76.26%に達したので、結果は民意に近いと思う。しかし、問題は獲得票が容認派(47,081票)、反対派(45,299票)、どちらへ転ぶか分からなかったくらい接近しており、市民の圧倒的な支持を得たわけではない。しかも、出口調査によれば新市長に投票した有権者のうち、移転容認は僅か3割だったようだ。市財政の困窮が補助金なしには、切り抜けられないことを知った市民が、已むに已まれず選択した苦しい決断だったのではないか。市民の意見は二分されたわけであり、今後市政運営は爆弾を抱えながら進めていくことになる。

 問題の根は深い。これまで圧倒的な勝利を治めてきた前市長としては、市民の支持を得られると多少楽観視していたかも知れない。だが、断は下された。「容認」と引き換えに新市長は、政府から止められていた補助金を受け取ることが出来るだろう。しかし、市を真っ二つに割った選挙結果により、市民から全面的な協力を得られるのか。今後新たに起こるであろう騒音問題は大丈夫か。また、どうやって市政を抜本的に建て直していくのか。着任早々重大な決断を迫られる。

 それより、今回のよろめき市政を仕掛けた張本人は、言うことを聞かない前市長に対して露骨に汚い術を使った日本政府である。アメとムチを目の前に見せて反対派を揺さぶる、政府の兵糧攻め手法である。補助金を機動部隊容認のご褒美に見せかけるなど、人の気持ちを秤にかける人非人的やり方である。是は是、非は非として、国家は一地方都市に対して、もう少し血の通った対応が考えられなかったものだろうか。

2008年2月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com