「知的生産の技術研究会」の定期講演に、顧問を務めておられる寺島実郎氏の講演をお願いした。毎年大体この時期の恒例として寺島講演会も定着して、毎年決まって聴講に来られる人もいる。昨日八木会長から受付の手伝いをして欲しいと依頼されたので、少々早めに会場のテラハウスへ出かけた。
高校の先輩である天野武和さんと和田正温さんもお誘いしたら快く参加してくれた。やはり寺島人気で熱気が溢れ、会場には100名を超える受講者が待っておられた。寺島さんの講演は、7日に伺ったばかりだが、その時は前段に大勢のお祝いの挨拶やら、その後のパーティもあり、中に挟まった寺島さんご自身の講演はほんの30分程度だったので、何となく物足りなく消化不良の点があった。今日は、質問も交え2時間たっぷり時間をとってくれた。
寺島さんの話は、相変わらず核心をずばりと突く小気味よさがあり、いまナウい話題を捉えては次から次へ関連づけて解説してくれて、聴く者を納得させてくれる。話に数字の裏づけが伴うので、とにかく説得力がある。講演時間がたっぷりだったおかげで、前回に比べ論点を掘り下げて、分かりやすく説明してくれた。
前回同様中国の巨大さ、進展について、アメリカとの対比の中で日本がいつまでもアメリカの後追いでよいのかとの問題点を再び指摘された。
いまの日本経済力低下を救うために、輸出に有利な円安誘導を唱える声があるが、過去湾岸戦争時に原油価格高騰を凌いで経済破滅を防止出来たのは、国内産業成長によって培われた底力と、外国経済の波を円高によって吸収したものであり、一概に円安、低金利がよいとは言い切れない。また、企業物価指数として素材原料と最終財の極端なギャップや、ワーキングプア、さらに失われた10年についても熱をいれて話された。
今回特に力説していたのは、空海についてだった。昨年夏高野山のセミナーで講師を務めて、改めて空海を学んでいるという。空海が理工系の人だったとは初めて知った。
日本国内では、科学で飯を食えない。そのようなプラットフォームが整備されていないと嘆いてもおられた。まだまだ書ききれないほど話されたが、受講者は私語もなく熱心に聴いておられた。ほとんどの人が満足されたのではないだろうか。終わってから、天野さん、和田さん、それに「JAPAN NOW観光情報協会」の杉さんに感想を尋ねたら、とても良かったと言っていた。こういう講演会は主催する方としても、やりがいがあって楽しい。