285.2008年2月23日(土) 初めて認められた陵墓立ち入り調査

 宮内庁が管理する神功皇后陵に考古学会・歴史学会の代表者が初めて墳丘の立ち入り調査をした。陵内に入り古墳の外周を歩きながら、測量図と実際の古墳の形を見比べ、写真を撮っただけだったが、初めて天皇・皇族クラスの墓と言われる「陵墓」へ立ち入りが認められたということ自体に意義がある。今回は立ち入ったというだけであるが、いままで認められていなかった内部への立ち入りが許されたことを評価したい。始めの一歩である。これからはもっと考古学的な調査が細部に亘って出来るような、実のある立ち入り調査を認めてもらいたい。

 それにしても情報公開の世の中で、宮内庁はどうしてこれまで陵墓への立ち入り調査を頑なに認めてこなかったのか。陵墓では、かりに発掘調査まで許されるなら相当価値のある考古学的な、また歴史的な遺跡、遺品が発見される可能性が高い。日本史上の新しい歴史的発見だって見出せる希望がある。こうした陵墓が日本国内には700箇所ほどあるという。史跡の宝庫ではないか。考古学者がよだれを流して流し目を送っているのがよく分かる。

 エジプトやインド、その他の陵墓には観光客ですら容易に見学することが出来る。日本では、現存する天皇家の出自にも関係する、遺品発見だけに慎重になるのも分かるが、あまりにも閉鎖的ではないだろうか。

 現在活動しているNPO「江戸城再建を目指す会」の目的は、国民の賛意を得て旧天守閣跡地へ当時のままの天守閣を再建することにあるが、皇居東御苑の天主跡は完全に空き地になって、しかも天皇ご一家がお住まいの吹上御所や、東宮御所とは大きく仕切られている。防犯上の問題点も見られないと思う。されど宮内庁には、天守閣再建について拒絶反応が強いようだ。宮内庁職員には、国の土地、つまりは国民の土地だとの意識がまったくなく、自分たちの土地だとの気持ちがあるようだ。

 とにかく宮内庁は一歩踏み出した。この動きがどこまで進展するのか。国民のためにも、考古学のためにももっと英断を振るってもらいたい。

2008年2月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com