このところ連日のように築地市場の移転先である豊洲市場の、建物地下部分の想定外の空間部分を巡って喧しい騒ぎになっている。新しい市場、豊洲市場の建築物の地下部分が専門家会議で盛り土を行うようアドバイスされたにも拘わらず、出来上がってみたらそれがなく空間になっていた事実が明らかにされ、今やハチの巣をつつくような騒ぎになっている。各テレビ局でも多くの時間を割いてその経緯や原因を解説し放映しているが、問題はすでに建物の地下に空間部分が出来上がってしまっただけに、今更取り壊して再び空間部分を盛り土にするわけにも行かず、どうすべきか関係者が困り抜いているというのが実態である。
そこへ昨日建物計画段階当時知事だった石原慎太郎氏がこの辺りの事情について説明すると、各テレビ局が同じような報道をする有様である。新市場へは11月に移転することに決まっていたが、複雑怪奇になって石原元知事がいみじくも言ったように、東京都は伏魔殿であることを曝け出した。
どうもこの計画から実行に至るプロセスや、誰が責任者かが不透明である。この辺りはお役人の秘密性、金銭感覚と責任感のマヒが影響していると思う。特に東京都は財政豊かで、あまり都民が厳しく都政について追及しないことを好いことに、都庁役人はそれに甘えている節がある。計画は計画としてこの先東京都はどうやって市場の移転を進めていくのだろうか。
キューバを旅行したことで多くの人から話を聞かせてほしいと言われている。「知研フォーラム」12月号にキューバの現状について寄稿することになったが、その点ではまだまだキューバ関連書を読み足りない。先日アマゾンに頼んだ3冊、チェ・ゲバラ著「ゲバラ世界を語る」、同「革命戦争回顧録」、フィデル・カストロ著「チェ・ゲバラの記憶」を今日入手したので、早く読もうと思っている。今のところ月末にゼミの仲間に話すことと、12月に吉祥寺で講演することが決まっている。
いま三好徹著「チェ・ゲバラ伝」を読んでいるが、これによるとゲバラが訪日した頃の日本政府のキューバに対する冷たい扱いがよく分かる。カストロもゲバラも親日的で日本に好意を抱いて、日本との貿易を望んでいたが、その当時すべての面でアメリカに顔が向いていた日本が冷たい対応をしていたことがよく分かる。キューバは知れば知るほど興味深く、魅力的な国であることが段々分かって来た。
さて、昨日民進党代表に選出された蓮舫氏が、今日党運営の要である幹事長に元首相の野田佳彦氏を据えることに決めた。あまりない人事である。元々蓮舫氏と野田氏は気脈が通じて蓮舫氏としては、最も頼りになり後ろ盾にしたい人である。野田氏は「‘蓮’の花を下で支える‘蓮根’になった気持ちで下支えする」と洒落た表現をしていた。とかく問題の多い民進党内には、この人事についても辛口の評価をする党員がいる。首相時に政権を明け渡すことになり、以降下り坂に陥った民進党内の一部には、野田氏を戦犯と見做す党員もおり、「火中の栗を拾う」覚悟の野田氏の蓮舫氏とともに民進党の再興を願う意欲も空回りになりかねない。これはどうにもならない民進党の体質であろう。