今夜は中秋の名月である。しかし、雨模様で空に月を見ることはできない。残念である。
去る11日民族・考古学者の加藤九祚先生がシルクロードのウズベキスタン・古都テルメズ遺跡の発掘調査中に体調を崩され現地の病院で亡くなられた。享年94歳だった。加藤先生は終戦後シベリアに長く抑留され、その厳寒の地の抑留体験が帰国後もずっと先生の気持ちを束縛し悩ませた。だが、先生が尊敬するロシアの探検家プルジェワルスキーの「人生はすばらしい。なぜなら旅ができるから」という言葉に励まされてきた。そして旅を続けた。その人生集大成の旅で冥界に召されて行った。以って瞑すべしであろう。古来旅に臥した歌人は多い。芭蕉もそうである。だが、加藤先生のような学者が旅行中に客死した話はあまり聞かない。私は旅を思い切りエンジョイし、仕事に大いに生かし、今でも自由に楽しんでいる。おこがましいが、その点ではロシアの探検家や加藤先生と似たところがあり、幸せなことだと思っている。
さて、今日民進党の代表選挙が行われ、3人の立候補者のうち最も有力視されていた蓮舫代表代行が1回目の投票で過半数を超え圧勝した。新代表は夜のNHKテレビで何が当選した理由だと思うかと問われ、「男性から女性へ、40歳代へ」の「変わった感」が斬新だったからではないかと発言していた。4年前に政権を手放して落ち目の民進党は、再起を期して党名まで変更し、変革を印象づけようとしている。2009年9月には40数%もあった支持率が、今では10%をやっと超える程度の支持率にまで低落してしまった。だが、一向に再浮上の気配もなく、坂道を転がり落ち選挙の都度議席数を減らして行った。
今回どん底に落ちた民進党は話し合いではなく、岡田卓也代表の代表辞退を機に、思い切って代表選挙に踏み切った。立候補した3人のうち、何かやってくれそうな予感を抱かせた蓮舫氏は、あるまいことか事前に日本と台湾の二重国籍問題が表面化してその対応に追われた。日本国籍の他に台湾国籍を有していたのである。蓮舫氏はそれはすでに放棄して解決していると述べていた。しかし、実際にはまだ台湾国籍は残っていて二重国籍のままだったと非常識でお粗末な謝罪会見を行った。一国の国会議員になる前に国籍問題は当然クリアしていると考えるのが、普通の市民感覚である。だが、蓮舫氏には国籍問題をまったく歯牙にもかけない無思慮さがあったようだ。この辺りはこの人のちょっと常識外の感覚だと思う。こんなイージー・マインドで一強多弱の一強である自民党を追い詰めて行くことができるだろうか。些か心許ない。
他の2人は、元外相、元国交相の前原誠司氏と政調副会長・玉木雄一郎氏であるが、弁護士の前原氏がまたもや恥を晒して立候補したのにはうんざりした。これまでも偽メール事件、禁じられた外国人からの資金受領、国交相時の八ッ場ダム建設工事中止発言など挙げればきりがないほど国民を裏切る行為を犯している。こういう鉄面皮の人が、よくも凝りもせず、野党第1党のトップとして立とうというのである。本人には気の毒であるが、落選してホッとしている。
はてさて普通とは些か異なる感覚の蓮舫氏がどれだけリーダーシップを揮ってやってくれるのか、民進党の行方は仕上げを御覧じろである。