376.2008年5月24日(土) 大関琴欧洲、初優勝を飾る。

 大相撲夏場所の優勝は、14日目の今日ブルガリア出身の大関琴欧洲に決まった。最近の優勝は、モンゴル出身の二人の横綱・朝青龍と白鵬による寡占状態だったので、琴欧洲の初優勝は新風を吹き込んだ感じでいい。しかもヨーロッパ人としては初めてで、日本相撲も国際的になったものだ。この琴欧洲の優勝が新鮮な感じを与えるのは、初ものづくしということに加えて、何よりも琴欧洲の誠実そうな人柄によるところが大きいと思う。

 横綱は強ければ何でも許されると言わんばかりの、傲慢不遜でルール破り、ふてぶてしい態度の横綱に引き比べ、喜びを素直に表し、言葉遣いも丁寧で、温かい人柄を偲ばせる人間性が一層相撲ファンを惹きつけるのだろう。優勝を決めた一番後の館内の拍手喝采は、横綱優勝のときに勝るとも劣らないものだった。こういう人柄の良さそうな人のインタビューは聞いているだけでもほのぼのとして、こちらまで明るい気分にさせられる。日本に来て6年足らずだそうだが、日本語も淀みなく流暢にしゃべる。

 大相撲は昨年来、しごき事件、八百長問題、横綱朝青龍モンゴル無断帰国事件、が続き文科省の注意を受けて、再生へ向け謹慎中であるにもかかわらず、新たに親方によるリンチ事件が発覚して、まるで反省が見られず救いようがない。この中で、琴欧洲の優勝、そして琴欧洲人気は、相撲界にとっては救いの神であろう。

 結局、人間は人柄が一番重要だということが琴欧洲の優勝からも見えてくる。

 さて、相変わらずビルマのサイクロン災害状況の画像が各テレビ局から流れてくる。その中で、ティン・セイン首相の災害現場視察は、あまりにも国民をバカにしている。キャスターの姜尚中・東大教授も呆れ返っていた。軍政のバカ首相は何と言ったか。数百人の哀れな被災者を前にして、「生命があるだけでも運が良かった」「自然災害はいつやってくるのか分からないので、防ぎようがない」と言ってのけた。開いた口が塞がらない。昨日トップのタン・シュエ議長が人的国際支援の受け入れを約束したにも拘らず、細目はまったく決まっていない。本当にビルマ国民のために、軍政は国際援助を受け入れる気持ちがあるのだろうか。ティン・セイン首相の前にしゃがみこんでいた被災者は、国家の責任者からこれだけ無責任で屈辱的なことを言われても、ただ黙って堪えているのだ。誰も文句も、反論も、抗議もしない。言っても聞いてもらえないと諦めているのだ。ビルマ人の従順で温和な民族性である。あまりにも気の毒で見ていられない。

2008年5月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com