中国四川省の大地震は、空前絶後と呼んでもよいくらいの直接被害と間接被害をもたらしそうな危ない状況になってきた。このほかに北京五輪の開催が迫り、チベット問題も未解決のままである。中国共産党の1党独裁政治がこれだけ輻輳した難問を解決できるのか、いささか疑問符が付き出した。
中国政府は、地震の被災者が昨日現在で4,550万人に達したと発表した。死者は60,560人である。4,550万人という数は、スペインの人口に匹敵する。世界で突出した人口を抱える中国が、その全中国人のうち、30人にひとりが被災者ということになる。想像を絶する規模である。怖いのは、地震専門家が指摘していた2次災害の可能性であり、震源地の近くでベールに隠された核施設の存在である。
2次災害について言えば、従来平地で発生した大型地震に比べて、山間部で起きた四川大地震は、崩壊した土砂が谷川に入り込み川を堰き止め湖水となり、この湖が決壊するケースが想定される。更に、脆い山肌が余震で今後も崩れ落ちると、麓の道路の復旧ができないおそれがある。町ぐるみでそのまま廃町とした地区もあるようだが、町の復興の前にやるべきことは順序立ててやらねばならない。山の崩壊、岩石の崩落を防ぎ、その後に物流の生命線である道路の復旧、そして町の再建である。気の遠くなるようなストーリーだ
核施設の被害も心配である。政府は安全だと強調するだけで、何箇所核施設があるか、どこにあるか、どの程度の被害が発生したのか、いつもの通り一切詳らかにしない。これも大いに心配である。
チベット問題どころではなくなったと思っていたところ、外務省報道局長はイギリスがダライ・ラマ14世の入国を認め、ブラウン首相が会談したことは、中国の内政に干渉し、中国国民の感情を傷つけたと非難し出した。中国の言い分は、自国にとって不都合で気に食わないことはすべて抗議するかのように映るが、話は逆で、むしろイギリスの外交にケチをつけているのが、中国自身ではないのか。中国がイギリスの内政に干渉しているのではないかと思えてしようがない。
中国と付き合っていくのは、相当図太い神経と論理思考がないと難しい。