すったもんだした挙句に、四川省大地震の救援活動として自衛隊機派遣は取りやめとなった。自衛隊機ではなく、民間機をチャーターして、テントを主とする医療器材等の救援物資を輸送することになった。当初は中国国防省が自衛隊に直接要請し、決まりかかったとも言われていた。ところが、一方で自衛隊が中国側に働きかけたともいう。ファジーな話でさっぱり分からない。中国に勇み足があったとも聞く。災害救助という大事なことを処するのに縄張り争いとか、メンツとかどうも横道に入り出していたようである。正式な外交ルートである外務省を通さないで交渉を進めたことが、順調な交渉を頓挫させることになった。日中両国間にボタンの掛け違いもあった。中国国内には日の丸機に対するアレルギーと反日感情がある。これに対して賛成意見もあったようだが、インターネットには反対意見が大きく掲載されるようになり中国政府も慌て出し、とどのつまり交渉を両外務省間の話し合いに委ねることになり、自衛隊機派遣はキャンセルされた。
中国国防省もお粗末だったが、蚊帳の外に置かれていた日本の外務省も些かみっともないというか、だらしがない。本件を度外視しても、近年の対外交渉に関するわが外務省の即応的な対応と折衝能力は、このところ地盤沈下する一方である。外国にやられっぱなしである。これは外交官だけの責任でなく、大いに政治家の責任でもあるが、これから日本外交の行先を考えると憂鬱になってくる。
その中で、日本としては珍しくアメリカに追従せず、独自の判断でクラスター爆弾禁止条約に合意した。アイルランドのダブリンで開催されていたオスロ・プロセス国際会議で主催国アイルランドが提案した条約案が合意された。日本もこれに合意した。この国際会議には、最初から大量保有国の米ロ中が参加していない。有力国の不参加で、合意された条約がどれだけの効果があるのかは分からない。ただ、この爆弾の殺傷能力は桁外れで、アメリカの言い分だと、抑止力として反って有効だと都合のいい持論を振りかざしている。国内でも自衛隊は本音では合意に反対で、最終的に福田首相の決断で合意することになり、保有分を廃棄することが決まった。これからどういう道筋で、これを反対国に説得していくのか、鼎の軽重を問われる。首相が思い切って決めたことを政治家と外務省が一体となって、支えあいながら我侭大国・米ロ中へ訴え説き伏せていくのか、ひとつの試練である。
今日は朝から随分寒い。小雨が降り、気温もぐっと冷え込んでとても初夏の気候ではない。ありふれた言い方だが、地球温暖化の影響だろうか、どうも不安定すぎる。妻は学生時代の友人と軽井沢へ出かけたが、震えながら厚着をして着替えを持っていった。天気予報では軽井沢は、最低気温が7℃、最高でも10℃だというから4月初めの気候だ。東京も寒い。つい暑いビルマの人びとはどうしているだろうと気にかかる。