3244.2016年3月31日(木) ビルマ民主化政府発足も前途多難

 2015年度末となった。アベノミクスにも暗雲が漂う中で、いずれ各企業の決算書が明らかにされるだろう。本当のところはどの企業が儲け、赤字になったのはどこの企業か、中々予想し難い。

 それにつけても、かつては日本経済成長の鑑であり、夢でもあった東芝家電部門とシャープの身売りという残念なニュースが、各テレビ局でも惜しむかのように伝えられていた。花形だった東芝は悪質な経理処理により大きな赤字を出し自ら首を絞めることになり、その結果白物家電部門を中国企業に売り渡すことになった。

 一方シャープは、すでに1ヶ月前に仮契約していた台湾の鴻海精密工業の傘下に入ることが正式に決まった。シャープは大型液晶テレビの大当たりで一時は亀山ブランドとして華々しい実績を上げ、同じテレビ・メーカーを羨ませるほどだったが、新商品を打ち出すことなく、また経営の舵取りを担う経営者に人材を得ることができなかった。その結果急転直下業績は下降線を辿ることになり、アジア企業の手に落ちてしまった。厳しく言えば、栄耀栄華のなれの果てである。

 さて、今日書き記したいことが2件ある。ひとつは、外国人旅行者の日本への入国者の増大で観光収入が増加し、国家財政を大きく潤してくれる反面入国者計画の修正と受け入れ態勢の手直しが必要になったことである。

 まず、この数年倍々ゲームで伸び続けている訪日客予想について大きく上方修正したことである。昨年の外国人訪日客が過去最高の1,973万人だったことから、2020年に2,000万人の見込み数を大幅に修正して、実に2倍の4,000万人に増やし、2030年には6,000万人にまで増やそうとの希望的目論見である。これらの観光市況判断のうち一番気になるのは、役人が観光業や外国人旅行客の嗜好について充分な知識がないまま机上で安易に数字だけを楽観的に修正していることが引っかかる。受け入れ施設についても今になって慌てて都内ホテルが不足すると慌てだしたり、どうも長期的ビジョンで計画が立てられていない印象がしてならない。この調子では、まだまだ新たな問題点が表面化するのではないかと危惧している。

 2番目に気になったのは、ビルマ(ミャンマー)の新政府発足である。昨年11月の総選挙により国民民主連盟(NLD)が圧勝して漸く民主的な政権のスタートが期待されているが、この国恒例のノンビリズムで、すでにあれから4ヶ月以上が経過した。NLD代表のアウン・サン・スー・チーさんがすべてを仕切ることになるようだが、憲法上大統領には就けない。懐刀のティン・チョー氏を大統領に就任させて、自らは18の閣僚ポストの内4つの椅子に座り睨みを利かすようだ。中でも外相はこの国の誰よりも海外に顔を知られた人物だけに、うってつけであると思う。スー・チーさんの外交交渉力を期待したい。

 問題は、半世紀以上に亘って政権を掌握していた軍部の力をどうやって抑えることができるかということである。当初はスー・チーさんが憲法上なれない大統領になるために、密かに軍部と話し合いを行ったが無為に終わった。この点を考えても、国会議員の1/4が軍部に充てられる現行憲法下では、思うように軍部を操ることは難しい。NLDとしては真の意味のビルマ民主化のための一里塚として、いずれ憲法改正を行わなければならない。前途は多難である。

 軍部はこれまで中国に顔を向けていたようだが、幸い新政府は日本に対して好感情を抱いているようなので、今後経済支援を続けながら両国間の友好関係を深めていければ、きっとお互いにプラスになることと思う。

 かつて極めて親日的だったビルマの人たちを思うと、アジアで最後のマーケットと言われるこの国の市場に大きな期待と希望が持てることを確信している。

2016年3月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com