396.2008年6月13日(金) 北朝鮮の変化をどうとらえるか?

 昨日北京で行われた日朝外務省実務担当者による公式協議の内容が、今日町村官房長官から公式表された。政府発表によると、①拉致問題は解決へ向けて再調査をする、②よど号ハイジャック事件犯人を送還する、の2点を北朝鮮は日本に伝えてきた。これだけ見れば北朝鮮が頑なに主張していた「拉致問題はすでに解決済み」より一歩前進したように思える。

 しかし、①はこれまで北朝鮮が何度も言ってきて、その挙句に拉致問題はすでに解決済みとはねつけた一項にからむ点で、この期に及んでよくも過去の言い分を変えてきたものだと思う。北朝鮮の意図は、アメリカのテロ支援国家指定の解除にあり、そのためには不本意だが日本と妥協することもやむを得ないと考えている。妥協は便宜的なものに過ぎない。案の定、拉致被害者家族会は北朝鮮の提案を額面通りに信じていない。むしろ政府の対応が変化したと反発している。政府は一定の前進と評価した声明を出し、即座に経済制裁一部解除の発表をしたが、家族会は反発している。やはり家族会の考えとはミスマッチである。

 難しいところだが、政府と家族会の考えは根底で微妙にずれている。家族会は黒白の二元論で考え、政府に訴え政府は了解していた。ところが、政府としては口ではそうだと言いながら、6ヶ国の事情も考慮しつつ総合的な北朝鮮問題と捉え、6ヶ国協議を睨んで前進させなければならない。お互いの主張にどうしても齟齬が生じる。

 コメンテーター・鳥越俊太郎氏や重村計智・早大教授らは、上記二つの問題以外にも合意事項があるのではないか、例えば拉致被害生存者やよど号事件の犯人の送還予定者名などを知らされたのではないかと推測する。そうでなければ、窓口となった斉木外務省大洋州局長が判断を求めるために、わざわざ帰国して首相や政府要人に報告した後に官房長官談話として発表されるようなことはない筈だと語る。今日夕方の公式発表なので、夕刊記事には間に合わず、詳細は明朝刊になるが、相手がしたたかな北朝鮮であるだけに、軟弱なわが国の外交力で果たして暗闇に光を灯すことができるだろうか。

2008年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com