3403.2016年9月6日(火) 韓国の若者は今どう行動しようとしているのか。

 北朝鮮からの無差別ミサイル攻撃阻止を目的に東シナ海に、米韓両国が迎撃ミサイル‘THAAD’を配備したことに対して、その射程内に入った中国が強くその設置を非難し、一時接近中だった中韓の関係が刺々しくなった。一方でいま韓国内では優良企業ロッテのお家騒動が大きな話題になり、同社の不法経理に対して司直の手が伸びようとしている。

 このところ比較的順調に経済が伸びている韓国だが、今夕の日経新聞によると若者の間でスラングのような新しい造語がいくつも生まれているらしい。そのひとつ「クッポン」は、過剰な愛国心を薬物中毒に例えたようで「クッポンをいっぱい飲んで愛国心が高まった」というように、それが将来を嘆き、ふてくされ、自らを卑下する若者言葉として世相を反映して使われているようだ。

 表面的には経済的に順調な韓国でありながら、過剰な愛国心や生きづらさを表す言葉が、現実社会への不満や不安を映し出しているのだ。特に世界的にも知られる韓国の厳しい受験競争、一流企業への就職戦争が知らず知らず若者の心を蝕んでいる。今や所得上位者10%への所得集中度がアジアでは最高水準となり、高所得層が毎月支払う教育費が低所得者層のそれの約8倍に上るという。大手企業では世襲や縁故採用が堂々と行われ、例え過酷な受験戦争を勝ち抜き有名大学を卒業しても大企業に就職するのは至難であり、仮に就職できて厳しい就職戦線をクリアしても、待ち受けているのは超ピラミッド型の苛烈な出世競争である。それらの範疇から外れた人たちは将来への希望が抱けなくなる。この辺りに希望のない将来に悲観した皮肉っぽいスラングが生まれる土壌があるのだろう。

 面白い例え話がある。ソウル市内で最近目につくのはカフェが急増していることらしく、その理由というのが、「40歳代で失職した人が再就職を諦め、退職金を元手に開業するから」だそうである。

 流石にこういう倦怠的、且つ退廃的なムードが国家にとって良いわけはなく、パク・クネ大統領も光復節でこの風潮に懸念を示し、自己卑下や悲観、不信と憎悪は決して変化や発展の動力とはならないと述べた。こんな退廃的なムードを反映しているのか、近年韓国では朝鮮戦争や2002年の韓国・北朝鮮の海上銃撃戦を扱った映画に人気があるという。これも危険な兆候ではないだろうか。表面上窺い知れない忌まわしい戦争の影が密かに忍び寄っているように思える。

2016年9月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com