405.2008年6月22日(日) 中国の悪評がヒートアップ

 「NATIONAL GEOGRAPHIC」日本語版が1995年に発刊されて以来ずっと購読している。黄色い表紙のこの月刊誌がアメリカの学校図書館には必ず備えられていて、アメリカの学校訪問のたびに生徒たちが教材の一部として参考にしているのを目の当たりにして、日本にもこんな雑誌があればいいなと思っていた。日本語版が発刊されたのを機会にすぐ購読申し込みをした。以来熱烈な愛読者である。文章も分かりやすく、写真がきれいで、紙質もいい。毎月のように付録としてついてくる地図がとりわけ役に立つ。これまでに私自身拙い意見を投稿して、3度ばかり採り上げられた。

 月刊誌で中々のボリュームもあり、すべての記事を読むことはあまりないが、5月号は表紙に「中国-崩れ出した神話」と書かれ、全文を「まるごと1冊中国大特集」と名づけ、すべて中国関連記事で埋められている。遠慮なく言えば、大体中国に対するストレートな非難記事である。

 時も時、中国があらゆる分野で話題になっているが、四川大地震のような不幸な出来事もあった。だが、チベット騒乱事件や、自由抑圧、貧富格差、環境汚染、食品偽装、スーダン・ダルフール問題、少数民族問題、等々はすべて中国自身が招いた問題である。

 昨日の朝日「天声人語」によれば、世界のホテル界で一番評判の良い旅行者は、日本人旅行者で、文句を言わず、おとなしく、部屋を汚さず、お金を落とすということらしい。その反対に、ワースト3は、中国人、インド人、フランス人の順だという。ここでも中国人は評判が悪い。

 「NATIONAL GEOGRAPHIC」5月号では、幾人かの外国人記者が中国のやや暗い側面に目を向け恥部を赤裸々に描いている。その中のひとつに、中国式資本主義の下ではどうして民主主義が育たないのかと疑問を投げかける。中国共産党がいろいろな角度から監視し、制限を加えているからである。特に、マス・メディアに対しては制約が多いという。そして、「国境なき記者団」が判定する民主化度が、何と169カ国中163位だという。どうもあまり好意的に見られていない。

 中国経済は近年急成長を遂げ、過去30年間のGDPの年平均伸び率がほぼ10%で他国にはこんな経済成長を遂げた例はない。経済的に、しかも一部の人間に恩恵を与えた形で潤ったが、教育面、モラル、格差是正、農村過疎化、少数民族問題等に多くの問題点を抱えたまま露呈した。

 偶々夜の民間テレビに桜井よし子氏、小池百合子氏らが出演して中国環境汚染の最悪のケース、癌村が話題になっていたが、「NATIONAL GEOGRAPHIC」にも癌村は大きく取り上げられている。黄河、長江の河川汚染と水量不足も相当深刻な状態である。中国も国際的にこれだけ世界の秩序を乱す元凶呼ばわりされるようになっては、誇り高い国民性ゆえ黙って引っ込んではいられまい。ならば、一度国家として国際社会へ向かって、しっかりした国家戦略と理念を打ち出し、世界の厄介者にはならないということを言動で示すべきときであろう。

2008年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com