406.2008年6月23日(月) 海外団体旅行の事故補償

 2006年10月トルコで日本人観光客の乗ったバスが事故を起した。深夜降雨の中でスピードを出しすぎたバスがスリップして横転したのだ。無理な旅程で先を急いでもいた。その後主催旅行会社と被害者との賠償交渉が未解決のまま暗礁に乗り上げている。同年12月中国で起きたバス事故も解決していない。日本国内なら当事者であるバス会社と被害者、遺族が直接話し合うことはできるが、外国のバス会社だと中々直接交渉ができず、とりあえず主催旅行会社が交渉を代行せざるを得なくなる。旅行会社に直接の賠償責任はないが、被害者側にとっては心情的に旅行会社とバス会社をひとくくりに考えがちなので、不満の矛先はどうしても旅行を主催した旅行会社に向けられる。補償交渉の不調を心配して、以前から国土交通省も海外旅行傷害保険の加入を積極的に勧めている。

 7年前、同じような安値販売会社がエジプトのアレキサンドリアで、1ヶ月以内に2度も同じ場所で同じようなバスのスリップ事故を起した。その翌月この会社は性懲りもなくペルーのマチュピチュで同じようなバス事故を引き起こした。原因はいくつかある。その最たるものは、安値販売、安値仕入れによる旅行商品の質の低下の問題である。一例を挙げれば、現地安値販売会社から安く仕入れるため、ハードスケジュールになり、そのうえ長距離走行に危険なオンボロバスを使用する。タイヤが磨り減ったバスがスピードを出し、雨でも降ればスリップ事故の可能性は限りなく高まる。

 いまもめている旅行会社の事故も同じような条件だったのではないか。つまり、目先の儲けのために安全を忘れていた。旅行業界も相変わらず懲りない。

 因みに、7年前のバス事故については、添乗員が事故防止のためにタイヤのチェックなどをやっていなかったのではないかということを付け加えて、旅行業界紙にツアーの問題点について寄稿したところ、批判されたと思い込んだ旅行会社から業界紙へ私の素性を教えろとクレームがつけたという。そんな料簡だから、事故が減らないし、その後の補償交渉もまとめられないのではないか。旅行会社は、もう少し安全を担保する旅行会社としてのプライドと責任感を持ってもらいたいと思う。

2008年6月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com