このところ我が安倍首相は連日東奔西走の忙しなさである。プーチン大統領との会談を終えて昨日ロシアから帰国したと思ったら、今日は主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席のため中国・杭州へ向かった。
一方で、すでに1日早く杭州入りしていたオバマ米大統領は、昨日中国の習近平・国家主席と首脳会談を行ったが、2大国の間では協調と対立が改めて浮かび上がった。まず最大の協調は、地球温暖化対策における温室効果ガスの排出削減に対する国際ルール「パリ協定」について、米中がともに締結したと発表したことである。これまで頑なに排出削減に異を唱えていた2大排出国が一気に協定発効の可能性がほぼ固まった。
現在中国の温室ガス排出量は20.09%で、アメリカは17.89%であり、両国だけで世界全体の排出量の4割を占める。このまま放置したら地球はこの2大国のせいで汚染ガスにより覆われることになりかねない。まずまずほっとしている。尤も3.79%のガスを排出している日本は、この数字の実現性に中々自信が持てないらしく、実施期限が先延ばしされることを内心願っていたようだ。事実日本はこの協定を締結していないのだ。だが、イニシアチブを握る米中が一歩前進した現在これ以上もたもたしてはいられまい。
新ルールは2020年以降発効される。米中の実効性もともかく、日本としてもいち早く実現へ向けて対策を急ぐ必要がありそうだ。
さて、米中対立の最大の問題は、アメリカが南シナ海問題や人権問題を中国側に糺したのに対して、中国は自国の立場を主張し内政干渉の立場を譲らない。南シナ海問題は遥かに内政問題を踏み越えているにも拘わらず、自説の押し売りである。自分の立場でしか考えることをしようとしない中国の強引な中華思想には、世界中から顰蹙を買い、呆られるばかりである。
実は昨日もこんなことがあった。杭州空港に到着したオバマ大統領が搭乗したアメリカ大統領専用機、並びに同行者に対して中国側から異常に立ち入った干渉があったようだ。あまりに傲慢で常識的な慣例を無視した中国側の態度に、業を煮やしたアメリカ側担当者が抗議したところ、「ここはわが中国国内だ」と突っぱねたと言われている。どうして中国という国は、こうも傲慢な自己主張に凝り固まっているのだろうか。これではまとまる話もまとまらないのではないだろうか。G20は果たしてどんな成果を生み出してくれるだろうか。中国が議長国だけに会議の成果にどうしても懐疑的にならざるを得ない。