とにかく機内が寒い。幸い隣の席が空いていたので、その座席の分とともに薄い毛布を2枚かけることができたが、それでも寒い。もちろんスェーターを着たうえでの感触である。私自身個人的な感想から言えば、以前に比べて機上の居心地は良くなくなったというのが率直な気持ちである。トイレの利用回数も増えたし、座席が窮屈に感じるようになった。それでもやはりあれこれあっても相変わらず楽しい気分に捉われるのも旅だからだ。
搭乗機ジャンボB777-300ERは確実に羽田へ向かっている。まもなくこの旅も終わるが、この次出かけるのは、いつ、どこへだろうか。今のところ自分自身でも見当がつかない。
今回お誘いを受けて幸い半世紀以上も前からの念願だったカリブ海のキューバを訪れることができた。キューバについては、革命を含めてカストロ前議長、チェ・ゲバラについて事実関係はほとんど知らなかったと言ってもいい。特に2人の人間性を含めて革命成功のための私利私欲とはまったくかけ離れた強い意思と高邁な思想、そして国民の福祉実現のためのあくなき思いには心を打たれた。これほどまでに国民のためを願って1個人が大きな目標である「革命」に2人3脚で取り組むことができるものだろうか。これだからこそ今以って2人はすべての国民から広く尊敬されているのだ。同じ革命家でもレーニン、スターリン、毛沢東らとは大きく異なる点だろう。
幸い今回事前の研究も含めて、現地で臨場感から身体全体で知った知識は計り知れないと思う。まだ見学して見たかった所もある。特に革命の大きな力となったメキシコからキューバへ乗り込んだグランマ号を見ることができなかったことである。健康上でも運悪く旅の最初にシャワーを浴びている際転んで腰を強打したために思うように動けなかったこともある。部分的には見たが、屋外のキューバン・ミュージック・ショーが降雨のため鑑賞できなくなってしまったことも残念だった。でもキューバで世界遺産も4カ所見学できた。これで訪問世界遺産は182カ所になった。見たこと、思ったこと等々について、いずれ近いうちに考えたことや感じたことを拙稿にまとめてみるつもりでいる。
今度の旅行で気分的に大分助かったのは、エア・カナダ機の利用空港が羽田だったことと、時間的に利用し易い時間帯だったことだ。昨夏孫を連れてサンフランシスコへ出かけた時利用した成田だと往復するだけでもかなり時間の無駄が生じる。その意味でもラッキーだったと言える。
帰宅してみると何と岩手県と北海道南東部を中心に台風10号が舞い戻って襲来し、多くの犠牲者が出ている。一方ウラジオストックを訪問中の安倍晋三首相は、ロシアのプーチン首相と会談し、12月にプーチン首相の訪日の約束を得た。そして会見の場が、首相の出身地・山口県だというのだからどういうつもりなのか。自己顕示欲の強さに呆れかえる。短期間の滞在に際して日本の政治的都市ではなく、自分の出身地に世界の要人を招こうというのだから首相自身の力の誇示であり、地元の日頃からの支持への恩返しではないかと思う。カストロやゲバラに比べて何とまぁ我利我欲と自己顕示欲が強いのだろうか。これでは彼らのように国民の信頼を勝ち得ることは到底無理だろう。