ゼミの1年後輩、赤松晋さんの3度目のオーケストラ・チェロ演奏で、例によってゼミの仲間が夫婦連れも合わせて20人ほどが浅草公会堂へ駆けつけた。
その前に、つい最近大日本印刷㈱の要職を退いた同期の池田博充くん、後輩のOG遠藤靖子さんと雷門前大提灯前で待ち合わせて、池田くん推薦のお蕎麦屋で腹ごしらえすることにした。浅草の「並木藪」という古いお店で、時間的に混みあうときだったが、何とか席を確保できた。聞けば、作家・池波正太郎が生前ご贔屓にしていたお蕎麦屋だそうで、池田くんの注文に合せて「天抜き」と「もり蕎麦」を注文した。この「天抜き」というのが珍しい。どんぶりに海老天ひとつと天汁が入っている。蕎麦はない。それで別にもり蕎麦を注文したわけである。天麩羅も旨いが、天汁の味が何とも言えずいい。添え物になったもり蕎麦も中々いける。これで一人前2,400円なり。美味しいが、ちょっと高いかなという感じ。浅草老舗の味を堪能した後雨が降り続く中を公会堂へ向かった。
今日の曲目は、①歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲(フンパーリング作曲)、②交響曲第3番ヘ長調作品90(ブラームス作曲)、③エニグマ変奏曲作品36(エルガー作曲)の3曲だった。赤松さんには申し訳ないが、最初にプログラムを見たとき、知らない曲目ばかりで、実のところ些かがっかりしていた。実際聞いてみてもやはり馴染みのない曲ばかりだったが、アンコール2曲の2曲目に、エルガーと言えば「威風堂々」と言われる、その名曲を演奏してくれ、やっと溜飲が下がった。
尋ねてみると毎日の練習も厳しいようで、今日本番が終わってほっとしたと言っていた。それにしても普通の楽器ではない、チェロを元来素養があるとはいえ、定年後本格的に練習し、アマチュア・オーケストラの中で、定期演奏会にまで出演するようになったのだからすごい。こんな離れ業はとても真似できるものではない。敬服するばかりである。
終わって「神谷バー」で赤松さん夫婦を交えて打ち上げを兼ねたお祝いの夕食会。いつもながら「電気ブラン」を味わい愉しく盛り上がったディナーとなった。