415.2008年7月2日(水) トップが駄目だと下が苦労する。

 ビルマをサイクロンが襲ってから今日で2ヶ月になる。相変わらずビルマ軍政ののろまで不見識な対応によって充分被災者へ援助の手は差し伸べられていない。家屋を損壊され家族を失った人々は、軍政の無能、無策によりこれからどうやって生活していくのか途方に暮れている。当初からビルマ軍政は外国からの支援を一切受けようとせず、一旦受け入れを表明したが、実際には自分たちで処理しようとしている。

 しかし、とてもこの国の現在の力ではすべての被災者を助けることなんか出来っこない。外国からの支援なしに、この国はこれから一体どう国民を守り、どうやって国を統治していくのだろう。外国人旅行者もほとんど訪れなくなって、ビルマの観光業者、特に新しいホテルはどうやって経営の帳尻を合わせているのだろう。

 30年ほど前なら外国人を対象にしたホテルや観光施設も数少なかったので、大きな影響はなかったが、8年前7年ぶりに訪れた時は、ラングーン市内に新築ホテルが群立し、観光都市・マンダレーや遺跡の町・パガンにも新しいホテルが建設され、多くの外国人旅行者が滞在していた。外国人の入国を制約するような国策では、外国人に頼っているそれらのホテルはこれからどうやって経営していくのだろうか。外国政府がビルマ政府に対して、まったく手を出せないのもじれったい。

 同じように国家の運営に対して、世界中の国から忠告や方針変更のサインを送られているのに、無視している国としてアフリカのジンバブエがある。自宅の近くにセミ・デタッチド・ハウスのジンバブエ大使館がある。お隣さんはザイール大使館だが、最近財政が苦しいと言われていたジンバブエではなく、ザイール大使館が先に立ち退いて、いまや空き家となっている。ジンバブエも遠からず立ち退くのだろう。

 旧ローデシアだったジンバブエは、1980年に独立して以来、ロバート・ムガベ大統領が独裁的な権力を行使して政権を担ってきた。先日の大統領選挙でも、予備選挙では最大野党、民主変革運動のツアンギライ議長に敗れた。しかし、ツアンギライ議長が過半数は獲れなかったために、次の決戦投票で雌雄を決する筈だった。その直前になってツアンギライ議長は支持者周辺への迫害と恐喝をおそれ、オランダ大使館内に逃げ込み立候補を取り下げた。この不思議な流れの中で、選挙はムガベ大統領の信任投票のような形となり、ムガベ氏は圧倒的多数を得て大統領に選任された。

 この国の経済はすでに破綻している。インフレ率はこの3月には35万%という天文学的数字で、6月には120万%になると予想され、失業率も80%に達している。ジンバブエ・ドル(Z$)は昨年度世界の通貨の中で最も低価値のワースト5に入っている。この5月には、5億Z$札が発行され、とても現実社会で通用する話ではない。長年にわたり国家経済を疲弊させた、その責任は重い。このムガベ大統領に対して、藩基文(パン・ギムン)国連事務総長以下アメリカ、EUが忠告しているにも関わらず、ムガベ大統領には一向にアドバイスに耳を傾けようとしない。各国が連携して忠告しようとしても、例によって中国が反対する。ビルマ軍政の背後にも中国が見え隠れしている。ソ連時代のロシアも共産党幹部が随分正論を述べつつ、やっていることは国民の利益に逆行するような正反対ばっかりだったが、いまの中国も、かつて毛沢東主席以下共産党幹部が貧しいころの中国から国を救うときれいごとばかり主張していたが、戦後の歴史と中国の現状を見ているとデタラメばかりという感じである。

 こういうジンバブエと軍政下のビルマ、またスタイルは違えども、国家権力の強い影響を受ける中国、ロシアに生活する人々に同情せざるを得ない。

2008年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com