昨日朝のNHK政治討論番組のさわりが再放送されるのを昨夜のニュース番組で見た。その中で高村外相の節度のない発言には失望するとともに、日本の外務大臣というのは、この程度の脳みそしか持ち合わせていないのかと呆れ果てた。
先日明らかになった中国製毒入りギョーザ事件に関する情報公開の遅れについて、外相はこう述べた。「相手(中国)から今公開すると捜査に差し支えるので、しばらく公表しないでくれと言われた。相手がこちらを信用してそう要求しているのに、当方で一方的に情報公開したら、以降重要な情報は入ってこない。これは情報の世界では常識的なことである」と言ってのけたのである。こんなことは事と次第による。そんな区別もできない、この大臣のオツムはどうなっているのか。外務大臣というのは、国益のために外国の高官と話し合い、国家の利益を背に相手国に対して丁々発止と言うべきことは主張し、相手が間違っていればその間違いや矛盾を指摘して、諭すがごとく間違いを糾し、事態を現状より好転させるというのが職務とその責任ではないか。ところが高村外相は、自国の立場を主張するより、相手国の言い分と都合のみを黙って汲み取っている。外相たるもの、こんな硬直的なロジックしか分らないのか。
情報を受けた段階で、これはギョーザ事件発生の経緯と事実関係の不透明さから考えて、トップ・ランクの重要な情報だと知るべきだ。中国が言っているのは、自分たちの虫の好い都合であって被害に遭った日本人のことはまったく考えていない。被害者が誰で、加害者が誰であるかをまずお互いに確認しあうべきである。そのうえで、日本は論理的に、かつ常識的に中国を説得すべきだった。公開することが両国国民の疑心暗鬼を解く、両国にとって最良の方法だと。だから、とりあえず情報公開して、その前提で改めて解決策を講じましょうというのが普通の常識である。それを相手がこう望んでいるから、こうしてあげるのが筋だと考えているとしたら、高村外相は外相としての器ではないし、その資格はないと思う。即刻辞職すべきである。外務省の役人は、当の大臣以下世間知らずが多すぎる。「世間一般の常識は外務省の非常識、世間の非常識は外務省の常識」などと揶揄されぬよう、もう少し毅然として外交交渉に当ってもらいたいものである。
気になっていたグルジア情勢が混沌としてきた。昨日グルジアが南オセチア自治区から軍隊を撤退させた。これを機会にグルジア政府はロシアに対して、停戦を呼びかけていた。仲介したクシュネル仏外相が両国を訪れ、グルジアからは停戦受託書を預かったが、覇権国家ロシアは停戦を拒否した。プーチン首相はグルジアが南オセチアで民族浄化を行っていると一方的にグルジアを非難するばかりだ。今日になって一旦は撤退させたグルジアが再び南オセチアへ軍隊を出動させた。こうなると泥沼状態で、徐々に深みにはまっていく。国連事務総長、アメリカもロシアを非難している。これでは当分停戦は望み薄である。
今日の明るいニュースは、水泳で北島康介選手が、100m平泳ぎで前回に続き、金メダルを獲得したことである。しかも世界記録樹立である。アテネ大会後のスランプ、周りの雑音やプレッシャーに負けず、逆にそれをバネにして力に変える術を身につけている。そしてここ一番でエンジン全開である。こういう逞しさを、政治家や外務官僚や公務員たちも少しは見習ったらどうだろうか。