459.2008年8月15日(金) 終戦の日を静かに迎えたい。

 63年目の終戦の日を迎えた。この記念すべき日だけは、静かに過ごし考えたい一日であるが、例によって北京五輪の騒々しさで静謐はどこかへ飛んでしまった。朝から晩までオリンピック、オリンピックとマス・メディアは大騒ぎである。

 そのせいでいつも中国、韓国が注視する靖国参拝が、大きな話題とはならなかった。日本も福田首相以下ほとんどの閣僚が参拝しなかったこともあって、関心そのものが低かったように見える。ただ、オリンピックのお祭騒ぎの中で、大切な問題が見過ごされるようでは、困ったことであるし、由々しきことだと思う。

 今日の全国戦没者追悼式で、河野洋平衆議院議長が「政府が特定の宗教によらない、すべての人が思いを一にして追悼できる施設の設置について真剣に検討を」と式辞を述べた。かつて新追悼施設建設案が真剣に検討されたこともあった。ところが、語弊があるが、いつの間にかあやふやになってしまった。福田首相が官房長官時代に私的懇談会で提言されたものである。靖国神社は国の代表者が参拝するととかく反発を買うので、現状を維持したまま、国として国民誰もがお参りすることが出来る、新たな追悼施設を建設することを考えた方がよいと思っている。

 テレビがオリンピックに占領されている中で、終戦とか戦争がどんな風に取り上げられるかと見ていたが、NHK以外は特集番組を組んでいなかった。NHKの夜の1時間番組では、レイテ島から生還した人たちの声を伝えていた。レイテ島には、一度訪れたことがあるが、ここは大岡昇平の「レイテ戦記」でも知られるようになった。私は主にビルマに展開された陸軍航空隊に関わったので、帰られた方から聞く話は、今日の生存者の話ほど悲惨ではなかったが、ビルマでもコヒマ・インパール方面は派遣された歩兵部隊が悲惨な目に遭ったと随分耳にした。

 年々旧軍人、遺族がお亡くなりになられ、戦争も風化していくのではないかという声を聞く。怖いのは、自分たちさえ良ければ他はどうでもいいという考えが表れるようになると、戦争は確実に風化していくだろう。その意味では、今年の北京五輪のバカ騒ぎは、戦争風化の悪しき見本ではないだろうか。

 さて、次作品「停年オヤジの海外武者修行」の出版打ち合わせのため、早稲田出版の大塚靖敏編集長に初めて会い、契約、写真、推薦文、出版までの予定等について話し合った。年内に発行される予定であるが、前著が11月上旬に再販されるので、この後両書のセールス・ケアをどうしようかと考えている。まあもう少しのんびり、じっくり考えてみようと思う。

2008年8月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com