大相撲のロシア人兄弟力士、露鵬と白露山が抜き打ち尿検査で大麻の陽性反応が表れた。先日同じロシア出身の若の鵬が大麻所持のうえ、本人も吸引の事実を認めて逮捕され、相撲協会から解雇された。昨日から今日にかけて、この深刻な事態の発生を受けて相撲協会幹部の言動は、福田首相同様まるで他人事である。 しかも、現時点ではまったく反省や自己批判の言葉が聞かれない。相撲協会には、昨日から抗議や問い合わせの電話が絶えないという。国技・相撲の不祥事を心配するファンからの問い合わせだと思う。それらの声を、協会幹部は取り合おうともせず、即座に疑念を晴らし、国民、ファンに納得してもらおうとの気持ちもない。先の若の鵬の事件でも部屋の親方がまったく知らなかったという。今回の事件でも2人の親方、北の湖理事長と大嶽親方(元貴闘力)は、知らなかったと言っている。同じ部屋に生活していて、大麻などを吸引していることを知らなかったすれば、本人の言う通り吸っていなかったのかもしれない。しかし、はっきり陽性反応が出てしまった以上、相撲協会の最高責任者である北の湖親方は、自分の弟子がこんな失態をやったことでもあり少しでも説明して、一刻も早く疑念を晴らすべきではないだろうか。それなのに今日は一切口を開こうとしなかったり、こそこそ逃げるような行動をとったり、責任ある立場の人間として、その対応はまったく腑に落ちないし、説明責任を果たしていない。
兄弟力士はともに大麻吸引の事実を否定している。しかも、もっと確実な検査をして欲しいとの要望まで言い出して、別の方法でより精度の高い尿検査を行うことになったが、それも準備に時間がかかるとのいい訳を述べて、尿の送付を遅らせたので、結果が判明するのもまた遅れる。
それにしてもここ数年間の相撲協会の管理上の醜態は、かつては考えられなかったものだ。力士に外国人が増えてきたが、管理監督すべき親方衆に充分指導すべき能力、余裕と指導力がないのだ。親方自身は厳しい現役生活を続け、それなりの実績を挙げたが、社会生活におけるルールとか、規範を学んでこなかった。アイディアもなければ、知恵もない。
協会の組織の問題にしても、毎度そのあり方を批判されても、時間をかけてずるずるウヤムヤにしてしまうやり方では、もうファンの目は誤魔化せない。
組織体制がその体を成していない。同じ力士上がりの親方衆で理事会を構成し、理事同士が言うべきことは言わない、物言わぬ理事会となっている。お相撲さんばかりの集まりで、果たして疑惑は払拭することができるのか。国から庇護された財団法人化が、相撲協会の自助努力と思考力養成の機会を失っしている。由々しき問題である。