3日前に突然辞任を表明した福田首相の後任を決める自民党総裁選挙の行方が、注目されている。かつて森総裁を決めたときの密室談義の反省からか、以後自民党総裁決定は多少オープンになってきた。しかし、それでも派閥の領袖同士の争いになったり、予想された人が予想通り総裁になったり、いつもまともな政策論争をやってこなかった。むしろ避けてきたと言った方が当っているかもしれない。
幸か不幸か自民党総裁選挙の前日、今月21日に行われる民主党の代表選出選挙では、現在までに小沢一郎代表に対して誰も対抗馬が出ていない。民主党が対抗馬を立てられないのには、いくつか理由があるが、自民党に取って代わって政権を担おうというのだから、無理してでも1人ぐらい対抗馬を出して、演説の下手な小沢代表に対して論戦を挑んだ方が党も盛り上がって活性化するし、国民も民主党の考えていることがよく分る。仮に自民党の選挙が中身の濃い激しい政策論争になり、盛り上がったなら、無競争で代表が決まる民主党が自民党の盛り上がりの中で埋没しかねない。その点選挙で、民主党のマニフェストを披露してアッピールすれば、どれだけ党が活性化し、民主党に対する国民の関心が高くなるだろうか。それを思うと、民主党にとっては折角得たチャンスをむざむざ逸するようなものである。民主党が身を引いた形になったので、場合によってはイェローカードをもらった自民党が息を吹き返すチャンスが巡ってくるかもしれない。
自民党内では、今日与謝野馨・経済財政大臣が手を挙げた。他にも、石原伸晃・前政調会長、小池百合子・元防衛大臣も色気を見せている。すでに麻生太郎・幹事長が総裁選への意欲を示し、立候補を表明した。実際に誰が対抗馬として立候補するか今のところ分らないが、とにかく複数の立候補者が選挙に出てそれぞれの考え、政策を主張し、自分の考えと政策を国民に対して堂々発表し展開すべきである。
それにしても今の政治家の言動には、国民が素直に耳を傾ける真面目さとか、真摯さ、ひたむきさが見られない。どうしても欲の皮の突っ張った、ずる賢い人たちの悪賢い所作と無責任さばかりが目についてしようがない。何とか格調の高い、ハイレベルの総裁選挙をやってもらいたいものである。