506.2008年10月1日(水) 総理大臣の所信表明とは何だ?

 今日の小沢一郎・民主党党首による代表質問は、一昨日の麻生首相の異例の質問に対する所信表明演説というこれまた異例のスタイルになった。更に細田・自民党幹事長が興奮して小沢党首の自民党幹事長時代の共鳴されないやり方を批判し、民主党に質問した。これを鳩山由紀夫・民主党幹事長が自民党に反論する対応で、解散・総選挙ムードの中で自民・民主の対決姿勢が一層強まった。首相はその論調からニューヨーク・タイムス紙に「好戦的なナショナリスト」と評された。これからが両党の力の示しあいを演出する時である。非難中傷ばかりしていないで、もう少しましな政策論争をやってもらいたい。政治家が、自分のことしか考えず国民の気持ちを袖にするようなパフォーマンスばかりでは、どちらに転んでも大した影響はないと思う。しかし、閉塞状況の政治のマンネリ状態を抜け出すには、一度民主党に政権を担ってもらうのも良いかも知れない。

 今年度後半初日を期して、松下電器産業㈱がパナソニック㈱に社名を変えて第二のスタートを切った。創業者名を外すということに社内外でもいろいろ議論もあり、中には猛烈な反対もあったようである。しかし、いままで同じようなケースを見てみると社名を変更することにより、むしろ企業イメージが向上した例の方が多いようだ。商品名だった「パナソニック」は、海外ではそれほど高い知名度ではなかったが、これから「ナショナル」を併合してどれだけ知名度を向上させていくことができるだろうか。

 一方、小泉改革路線の延長線で新しい民間会社が生まれた。国の4つの金融機関を、統一して民間会社に衣替えしたのである。その名は「株式会社日本政策金融公庫」という。「国民生活金融公庫」「農林漁業金融公庫」「中小企業金融公庫」「国際協力銀行」の偉大なる(?)政府機関をひとつに統合したものである。トップに民間人を据えてはいるが、そう簡単に権力は手放さない役人根性で、ナンバー2とナンバー3にはしっかり官僚の天下りを認めさせている。

 役所にも新しい組織が生まれた。国交省にあった観光部が独立して観光庁が新たに発足した。外国人旅行者をもっと日本へ呼び込もうとの狙いである。小泉政権時に「VISIT JAPAN」プログラムを立ち上げ、外国人訪問客が増えるに連れて受け入れ態勢の整備が求められ、今漸く体制が整ってきたというところである。

 しかし、旅行というビジネスは本来主体的に民間ベースで自由競争の中で行われるべきものであり、役所の硬直的な行政指導を発揮しすぎると、反って逆効果で問題が噴出しかねない。初代長官に本保芳明・国土交通省総合観光政策審議官が任命されたが、技術系の人である。しかも初代長官には民間人の登用を考えていたのに、待遇の悪さに適任の人物が現れず、内部から登用したというのが楽屋裏の話である。役人的ではない、行動力、創造性、セールス体験、海外旅行の実情等をよく知っている人物でなければ、とても旅行業のような変化の激しい行政のリーダーシップは振るえない。最初の人事から推して、些か先行きが心配である。

2008年10月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com