535.2008年10月30日(木) 麻生首相の景気対策とは?

 連日値動きの激しい株価がこのところ上昇トレンドを描いてきた。2日前には一時的に日経平均6,000円台にまで落ちたが、今日は21日以来の9,000円台に戻した。終値は日経平均9,029円である。円高も大分解消され輸出関連企業にとって、安心はできないが、この傾向が維持されるならほっとするところだろう。

 今日麻生首相が新総合経済対策を発表した。タイミングがよいのか悪いのか分らないが、今年度の見通しとして税収が5兆円も減収といわれている。その中でこの追加経済対策にほぼ5兆円規模を追加する。

 消費刺激策として、定額減税と言って実際には現金を満遍なくばら撒くのだ。しかし、日本は小泉政権以来赤字国債を減らすことに努めてきたのではなかったのか。いま赤字国債発行額が累計でいくらになっていると思っているのか。550兆円もある。これを毎年少しずつでも返していかなければならない。今年度の一般会計は当初見積もりでは税収が53.5兆円のはずだった。それが5兆円もの減収が見込まれている。そこへ新たに5兆円をばら撒くという。一般会計から出すのではなく、特別会計、つまり言うところの埋蔵金から支出するという。それにしても懐が2つあるだけであって元は同じサイフである。首相は話した言葉の端から、3年後には消費税を上げるという。いわゆるマッチポンプではないだろうか。

 この国の総理大臣には、全体的なバランス感覚に疎いところがある。どれだけ有効で、国民が喜ぶ対策を実行しようとしているのか。話題になっている2件を見てみよう。

 ひとつは、給付金を全世帯に支給する定額減税といわれるものである。その金額も1人当たり15,000円だそうだ。2点目は高速道路料金の大幅値下げである。

 前者は、まだ現金支給か、クーポン配布か決めかねている。いずれにしろこれだけで2兆円を注ぎ込む。9年前に同じようにクーポン券を配布したが、9千億円のうち2千億円しか経済効果はなかったという。今回のアイディアも前回同様公明党の入れ知恵だろう。個人的には、確かにひとり15,000円のボーナスは嬉しいだろう。しかし、国の財政が苦しい中で個人的に恩恵を受けたところで、いずれ遅かれ早かれ新たな税金を背負わされるのは目に見えている。どうして、こんな目くらましのようなことを政府は国民に負託させるのか。

 後者については、誰がこんな姑息で不公平な値下げを考え出したのか首を傾げたくなる。値下げはETC装置の乗用車だけに限定し、首都圏を除くという。しかも利用料金はポッキリ1,000円という破格である。これには運送業界もトラックの運転手も怒り心頭である。差別ではないかと怒っている。その通りである。乗用車より商業車を優遇した方が、むしろ景気対策には有効ではないだろうか。

 その上で、麻生首相は3年後には消費税を上げさせてくれとためらいもなく述べた。それでいて、解散と総選挙は当分行わないという。麻生首相は今日本を一体どうしようと考えているのか。だから、マンガばかり読んでいる奴はダメだ。

2008年10月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com