昨日からチベットのダライ・ラマ14世が日本に滞在している。しかし、新聞はおろか、テレビでもあまり大きく報じない。今年3月に起きたチベット暴動事件の折には、連日連夜のべつ幕なしにチベット事件を伝えていたのに、手のひらを返すようなあまりにも冷淡な報道ぶりである。ダライ・ラマは中国政府のチベットに対する対応があまりにも非民主的で、チベット住民を益々窮地に追い詰めている中国政府の対応に悲観したと述べている。これでチベットの民主化は一層遠いものとなるだろう。それにしても日本政府のダライ・ラマ14世に対する姿勢はあまりにも冷たい。政府の閣僚は誰一人としてダライ・ラマに会おうとはしない。中国に遠慮しているとしか思えない。とても公平な対応とは思えない。ダライ・ラマはアメリカに行けば大統領以下多くの要人がわれ先に会おうというのに、対米追従国である日本政府の要人たちは、誰も彼に近づこうとしない。日本の政治家がいかに中国を怖がっているか明らかである。もっと虚心坦懐であってもいいのではないかと思う。
さて、今日はアメリカ大統領選挙の投票日である。民主党のバラク・オバマ氏と共和党ジョン・マケイン氏の一騎打ちであるが、このところオバマ氏優位は動かない。マケイン氏にとって痛いのは、リーマン・ブラザーズ社倒産以来の金融不安がブッシュ共和党による経済混乱のせいだと受け取られて、一気に共和党員マケイン氏の旗色が悪くなったことである。最後の一日になっても、両者は最後の最後まで地方を遊説して少しでも票を掘り起こそうとしている。その意欲とエネルギー、スタミナは見上げたものである。
しかし、とにかく選挙キャンペーン期間が長過ぎる。選挙戦がスタートしてからもう2年近くになる。全米中の考えを掬い上げる点で、遊説に遊説を続けてこれだけ草の根民主主義を貫くのは素晴らしいと思う。だが、一方であまりにも時間をかけ過ぎていないだろうか。時間の浪費があまりにも大きい。金もかかる。オバマがこの選挙のために集めた金だけでも何億ドルと言われている。大きなお世話かも知れないが、これだけ多忙な時代に、大統領ひとりを選ぶために全米で2年間に使う資金、時間、マン・パワー、エネルギーを考えるとそろそろその選出方法も考え直すべき時に来ているのではないかと思う。