604.2009年1月7日(水) 内向き志向の日本は存在感を示せるのか?

 まもなく離任するトーマス・シーファー米駐日大使が、船橋洋一・朝日新聞主筆のインタビューに応えている。大使は日本が自信を失くし内向き志向になっている点を懸念している。そのうえで日本が世界で役割を明確にしていないし、発揮していないことが、アメリカにとって気がかりな点だという。アメリカがそう仕向けているにも関わらずである。大使の懸念の最たるものは、アフガニスタンの安定支援とか、対テロ支援からの「撤退」だそうだ。ただし、大使の述べる根拠には正確な視点がある、と同時にアメリカにとって都合の良いいびつな誤解もあると思う。

 前者については確かに内向き志向であることは残念ながら正しいと思う。大使は、民主党の小沢代表に対して話し合いに応じようとしない点を惜しんでもいるし悔やんでもいる。小沢代表がアメリカの希望に合致しない主張をすることも、小沢代表に好意的でない原因だろう。いずれにせよ日本の内向き志向は、海外から日本について誤解を生じさせる最大の原因である。日本が6ヶ国協議でアメリカはもとより、中国や韓国からも拉致問題だけしか向き合おうとしないという点で批判されている。この背景には、日本の立場を主張する日本側代表の説明不足と説得力欠如がある。これは政治力学はもちろん、外交哲学の問題だと考えている。現在のわが国の政治のあり方、また政治家の能力と哲学から考えると、外交力が身につく筈もないからである。

 後者の誤解については、アメリカに同調することを求められたが、従わなかったことからアメリカの不満をテロ支援からの撤退とすり替えられたのだ。完全に誤解されている。これも説得力が足りないからである。日本の判断がぐらついていた点を見抜かれてもいる。政治家というのは、相手の弱みを利用したり、逆手にとったりするものである。それは外交面でもはっきりしている。

 日本は日本たるべき磐石の考えを固めて、喩え相手が同盟国であろうとも動じない、是々非々の立場を貫くことが相手にスキを見せず、長期的には信頼を勝ち得ることにつながることを知るべきである。その点で日本の現在の政治家は、残念ながら当てにならない。

 シーファー大使も言っているように、日本はもっと世界へ向かって政治的行動を起こすべきである。そして、アジアでも、中東でもどんどん仕掛けをするべきではないか。金だけ出して黙っている手はない。行動の中にこそ存在感が浮かび上がってくるものだ。これは私自身の信念でもある。

2009年1月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com