未だに解決のメドが立たないガザ地区における戦争状態は、イスラエルの攻勢によって益々悲惨な状況になっている。ガザ地区の死者はすでに650人を超えた。そこへエジプトのムバラクおじさん(大統領)が助け舟を出した。このムバラクという人は、1981年10月サダト前大統領の暗殺によって、副大統領から急遽繰り上げされた大統領である。サダト前大統領が暗殺された衝撃的なテレビニュースを、偶々出張先のアメリカのインディアナポリスで観ていたが、その後大して実績も人望もないままに、いつの間にか在任27年を超え、独裁政権を築き上げるまでになった。現在80歳である。アラブ諸国の中では唯一イスラエルとまあまあの関係にある。ガザとエジプトの国境門をイスラエルの意向を汲んで遮断して、あまりガザ寄りの姿勢を示さなかった。ところが、このイスラエルのガザ地区攻撃がアラブ諸国内でエジプトへの非難を急速に強めることになったので、この強い風当たりを避けるために、ムバラクおじさんは急遽停戦調停に乗り出した。アメリカやフランスも一応の評価をしているが、その内容とは停戦は一日僅か3時間で、しかも1日置きの時限停戦だという。こんなへんてこりんな停戦もあるのかなぁ、またこんな戦争あるかなぁというのが率直な実感である。まあ所詮ムバラクの売名、実績作りの停戦であるが、とても本格的な停戦とはなるまい。やらないよりはやった方がいいという程度の3時間停戦である。
しかし、やはりと言うべきか、3時間経過して現地ではまた火を噴いた。はてさてこの行方はどうなるのか。
グッドニュースもある。昨年9月エチオピアのオガデン地方でオランダ人看護師とともに誘拐された、NGO組織「世界の医療団」に所属する赤羽桂子医師が昨日解放された。ソマリアの各地を移動させられていたらしい。犯人もソマリア人だという。今ソマリアは無政府、無警察状態にあり、極めて治安が悪い。ソマリア沿岸では海賊が跋扈している。ソマリア沖合いでは各国の船団がソマリア海賊に襲撃され、被害も甚大である。このまま海賊対策に手を拱いていたのでは、安心して航海することが出来ない。
これまでの拉致被害者と異なり、赤羽医師のケースは貧しい地域で直接的な医療支援活動に当っていて、現地住民のために献身的に活動されていただけに気の毒だった。解放されてまず良かった。