漸くパレスチナ情勢に対する危機意識が国連安全保障理事会において具体的な結論を導き出した。ガザ地区の即時停戦を求める決議案を賛成多数で採決したのである。
しかし、14ヶ国が出席した安保理事会でも、全会一致とはいかなかった。停戦案には反対する国こそ出なかったが、主旨に賛同できないアメリカが採決では棄権を選択した。言い分がふるっている。ライス国務長官は仲介に当っているエジプトの仲介協議の結果を見極めてから決めたいと言っている。いつもは先頭になって独断的に決め、他国にも押しつけがましい行動をとるアメリカが何をこの期に及んでと言ってやりたい。結局アメリカ国内のユダヤ人と彼らの母国・イスラエルにだけ気を遣っているのである。当事者のイスラエルとイスラム過激派ハマスが果たしてすんなり受け入れるかどうかも不透明である。
朝日朝刊によれば、オバマ次期政権としては「日本が自信を持ち、米国が思いつかないような構想を打ち出し、米国が出来ない役割を果たして欲しいと考えている。単なる『劣位の同盟国』から、補完的、有機的な関係を築ける対等なパートナーになることを期待している」と相変わらず自己本位なことを言っている。つまりこれがアメリカの本音であり、対日スタンスである。
経済においても従来のアメリカ的な考えや手法ではセイフテイネットが充分でないとの考え方が浮上してきた。強欲主義でよいのかとの反省である。槍玉に挙げられたひとつの例は、アメリカ政財界のリーダーを育成してきた「資本主義の士官学校」ハーバード・ビジネススクール(HBS)である。HBSの卒業生の1/4が危機の震源地となった金融界で働いている。金さえあれば何でも出来て、大手を振って歩ける。例えば、破産したリーマン・ブラザースのCEOリチャード・ファルド氏は2000年以降330億円の高額報酬を得ていた。そしてリスキーな投資のうえ会社を倒産させた。汗水たらして働くことよりも、労働の手を抜いても金融工学によって最終的に手元資金を残すことが世の勝利者である。これがHBSの指南書である。
アメリカはすべての面で自己過信している。もうそろそろ目覚めないと他の国々が迷惑するばかりである。そのアメリカのお先棒を担いでいるのが、自己判断できない日本の政治家どもである。
夜のNHKニュースのインタビューでノーベル賞作家・大江健三郎氏が「今年の正月の新聞ほど暗いニュースが盛られていたことはかつてなかった。・・・・・ものを書くということは想像力が必要である。今の日本には想像力がなくなっているが、それを社会が咎めない」と言っていたのが印象的だった。
話は違うが、イギリスのインディペンデンス紙によれば、近年の発明品の中で最も重要、且つ下らないものは、カラオケだそうである。次いで、24時間スポーツ・チャンネル、ゲーム機、携帯電話らしい。