「NATIONAL GEORAPGHIC」今月号に「知られざる米大統領の日常」という特集記事が掲載されている。公的な仕事場と私的な家庭をひとつにした個人商店のような、通常ホワイトハウスの窺い知れない一面と、年に5~6回予定される大統領の外国訪問の際の対応について興味津々のホワイトハウス情報をリポートしている。
この特集の中で意外だったことが3つばかりある。ひとつは、普段大統領が移動に使用している専用リムジーンは、特別仕様でテロリストからの毒ガス攻撃にも耐えられるようになって、車内は外部の音を遮断する完全な密室構造になっている。重さも4.5トンもあるという。大統領が外国訪問する時にも、いつも思い通りに使用できるように航空貨物機でスペアの専用車とともに海外へ運び、訪問先でも国内と同じように利用するというから恐れ入る。
2つ目は、外国を訪問する時、しかも大規模に移動する時は、総勢800人もの人が動き、専用機「エアフォースワン」には、大統領夫妻とスタッフ30人、シークレットサービス100人以上、そして14人のプレスが乗り、他のプレスはチャーターされた別の航空機で追随する。しかも、支払うべきその航空運賃はファーストクラス並みだそうである。
3番目に驚くのは、ホワイトハウス内で開かれる晩餐会、外交団を招いたレセプションに掛かる費用は税金で賄われるが、日常的な家族の食費はすべて大統領の負担だそうである。第1級のシェフを多数雇い入れ、高価な仕入れのために、初めて請求書を見たファーストレディはそのあまりに高い食費にびっくりされるということである。
まあこういう環境の中で多くのスタッフの協力を得ながら世界の政治のリーダーが活動しているのだと思うと、納得することが出来る反面些かの戸惑いを感じざるを得ない。
そのオバマ政権はすでに実質的なスタートを切った。最初の日本流に言う閣議で、閣僚に国のため、国民のために奉仕して、自分自身のために奉仕することは控えて欲しいと言い渡したということであるが、当たり前のことで、こんなことを言わなければならないこと自体、勘ぐれば過去においてこういう反倫理的なことが行われていたということを匂わせる。しかし、日本では大臣だって私利私欲に走るケースが多く、透明性という点に関してはアメリカ政府の方がまだしも上だと思う。
それにしてもオバマ大統領の演説、行動力、雰囲気、若さ、異質な経歴、どれをとってもカリスマ性とか、期待度がこのままだと益々広がっていくような気がする。リーダーシップに非凡なものがある。他方、自らは動けない、動こうともしない日本の政治家の動きを見ているとまったく情けなくなる。率直に言ってアメリカ国民を羨ましく思う。