今朝の新聞を読むと不景気な記事満載に少々うんざりする。曰く「日銀、2年連続マイナス成長」「トヨタ、海外で正社員削減」「ソニー営業赤字2,600億円」「米マイクロソフト、初の大型リストラ・社員5%5千人削減」「米住宅着工件数、最低に」「6大銀、最終利益8割減」等々、国内外の有力企業が軒並み直近の金融危機の影響をまともに受けているのが分る。
そんな中で「オバマ外交、早くも本格化」「アメリカ再生への道・新エネ産業創出へ結束」とオバマ大統領は中々勇ましい。実行力に大きな期待を寄せられ、一歩踏み出した。翻ってわが日本の政治はどうか。消費税を上げる論議が、自民党財務金融部会と政調審議会の間で「消費税を含む税制抜本改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講ずる」とする付則を盛り込んだ税制改正関連法案として妥協の末に了承された。今の若者風に言えば、「何だよ、これって?」ということになる。麻生首相は就任当初定額給付金と引き換えに、2011年までに消費税を上げるとはっきり明言していた。「ぶれる」首相は、近づく総選挙を前に消費税値上げに批判的な党内事情を配慮してトーンダウンして、玉虫色の決着にした。「決定は必ずしも決定でない」おもわせぶりの文言だけが法案に付されている。日本のリーダーである麻生首相は、こういうその場しのぎの身の処し方で切り抜けることにしたのである。オバマ氏と比べて何と迫力のない、みみっちいことをやっているのか。
日本の政治が機能していない一方で、他の分野で眉唾ものであるが面白い統計もある。日本経済研究センターが昨年の世界50カ国・地域の潜在競争力ランキングを発表した。少々分りにくいが、長期的、持続的な成長力について企業、教育、インフラなど8項目の主要な指標を分析して偏差値を算出し、今後10年間に一人当たりGDPをどれだけ増やせるかを示しているそうだ。部門別に面白いのは、06年に財政赤字が縮小したことで「政府」の順位が上がったことだそうである。この時期は小泉首相だったので、安倍、福田、麻生の実績によるものではない。
しかし、よく考えてみると日本経済研究センターがまとめた、この予測統計はあまり意味があるとも思えない。香港が1位、シンガポールが2位を占め、産業生産力のある国や資源国が上位にランクアップされていない。経済力の実態を正確に映し出しているようには見えない。日本が12位へ上がったと喜んでいるようだが、ロシアが30位、中国が34位というのも潜在競争力という観点から少々疑問である。
日本政府同様に官直営の作業や研究機関には、少々的外れでムダなものも多いのではないかと気になる。多額の経費を注ぎ込む以上、一般国民が納得し、役立つ情報収集と分析を行って欲しいと思うのは至極当然と思うのだが・・・・。
58年前に卒業した千葉市立幕張小学校(旧幕張町立幕張小学校)のクラス会「和会」は、毎年恒例の新年会を錦糸町の寿司屋で行っているが、今年は私の出版記念会を兼ねて開いてくれた。生憎体調を崩した友もいて、例年は10名くらい集まるが、今日は6名きりだった。いつも肩の凝らない昔話に終始する。今日成績が良くマドンナ的存在だった小林禮子さんが担任だった湯浅和先生に書いていただいた言葉を和紙にコピーして配ってくれた。それぞれの生徒に卒業前に書いてくれたらしいが、誰一人として覚えていない。素晴らしい達筆で次のように書いてある。
「美しい気持でね
でも
美しい気持ってむずかしいよ
一生かかってやるんだよ
美しい気持でいられたら
きっと幸福だよ
元気で」
この後に湯浅和先生の住所と署名がされている。先生がこどもたちのことを真剣に考えてくれたことがよく分る。
とにかく素晴らしい先生だった。みんな慕っていた。体当たりで何でも教えてくれた。小林さんが「12歳の時に、一生かかってやることを教えて頂いた私達は、幸せな生徒だったと思います」と補足して書いてくれている。
私も学生のころに父の仕事の関係で歌舞伎座の入場券を度々手にして、3~4回は先生と歌舞伎を観劇したことがある。22年前母が急逝した1ヶ月後に先生も亡くなられた。千葉市内の自宅で行われた通夜と葬儀に参列して無性に寂しい気持に襲われたことを思い出す。我々同級生もみんな古希を迎えた。いつまでこのクラス会が続くか分らないが、悪戯盛りだったこどもがもういいじいさんとばあさんになった。級長だった高橋繁くんがマメにお世話役を引き受けてくれるので、何とか続いている。せっかくの衆生の縁である。出来るだけ縁を大切にして出席するようにしたいと思っている。