650.2009年2月22日(日) 日本に二大政党制は根付くか。

 今朝の日経紙「風見鶏」欄に「『両雄』は並び立つか」というテーマが取り上げられている。

 格差社会及び対立社会でないと対立軸が見出せないので、日本では2大政党制は成り立ちにくいと、アメリカ社会の例を挙げて興味深く検証している。アメリカ社会には、北部と南部、金持ちと低所得層、白人と非白人の対立というより異なったジャンルの人々が存在し、そこに2大政党が存立する基盤があるとエズラ・ボーゲル・ハーバード大学教授は指摘する。そうだとするなら、都市と地方、失業による格差の広がり等が拡大している現在の日本社会には均質性を失わせ、2大政党成立の条件を満たしていると言えるのだろうか。

 エズラ・ボーゲル教授は日本には本質的に人種や所得水準が均質化しているために対立軸を提示できる余地が少なく、そのことが2大政党制が日本で根付かない原因だと分析している。しかし、私は元来日本人の精神的な根底に論争を好まない温和な性格があるので、必ずしも外的な均質性のゆえに2大政党制が生育しないとの説が的を射ているとは思わない。アメリカ人の間では対立軸があまり露骨に見られない日本社会の特徴から言えば、一般に日本には2大政党は育ちにくいと見られがちなのであろう。

 このテーマの背景には、民主党の岡田克也副代表が昨年12月アメリカの有力シンクタンクの関係者と会食した時に、アメリカの対日政策について苦言を呈したことがきっかけとなっている。アメリカでは日本の政治体制の下では、同根の政党が入れ替わって政権を握ろうとも日本の外交政策は不変であると考えている人が多い。次の総選挙で仮に民主党が政権をとっても、アメリカは日本政府が従来の自民党政権の考え方をそのまま踏襲すると考えている。それは、アメリカ人は小泉純一郎元首相が「アメリカについて行けば間違いはない」と発言したことを信じきっていることにある。これに岡田副代表は、小泉発言は宰相の言葉としては(哲学も、理念もなく)恥ずかしいと異を唱えた。そして岡田副代表は更に「アジアのことでは日本をもっと信頼して任せてほしい。例えば、アメリカは東アジア共同体にアメリカも加えるように求めてくるが、同盟国の日本を信頼してもらいたい」とはっきり意見を述べた。

 それにしてもアメリカに対してはっきりものを言った日本人政治家を久しぶりに見た思いである。

2009年2月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com