668.2009年3月12日(木) 映画「シリアの花嫁」鑑賞

 前から見たいと思っていた映画「シリアの花嫁」が岩波ホールで上映されている。今日飯田ゼミの佐藤博信さんから先日寄稿した吉祥寺雑学大学機関紙の原稿について相談したいとのことだったので、朝渋谷で会い話を聞いた。当初A4判4枚の条件だったが、私が提出したのは図解を入れると5枚だったので、1枚削除出来ないか、できれば図解を外してほしいとの話だった。ただ、図解を外すとテーマがまったく面白くなくなり、アピール度が弱くなるので、ここは本文を4枚から3枚に減らすということで折り合った。

 その後「シリアの花嫁」を観たが、中々シリアスな映画である。フランス、ドイツ、イスラエル3ヵ国の合作映画だが、舞台設定がゴラン高原のある村の結婚式に絡んだストーリーで、家族、友人、警察、出入国管理官らのやりとりがほとんどで、部分的にはユーモアもあるが、終始重苦しい雰囲気の映画である。

 実際どれだけの日本人が、第3次中東戦争後にイスラエルに占領されたシリアのゴラン高原について知っているだろうか。ちょうどこの戦争直後にレバノンとヨルダンを訪れ、アラブとイスラエルの敵対関係を目の当たりにしただけに、ひと際関心が高い。不倶戴天の敵である、イスラエルとアラブの微妙な空気が流れる現場の雰囲気を理解するのは中々難しい。デモ行進とそれを阻止しょうと動く警察。イスラム少数派・ドゥルーズ派の花嫁、ヒロイン・モナはイスラエル占領地に住んでいるので、無国籍である。そのモナがゴラン高原の部落からシリアへ嫁いでいく中で、政治運動に関わった頑固な父、自分を理解してくれるが夫と不仲の姉、ロシア人医師と結婚した弁護士の兄、遊び人で商売人の兄らが、それぞれ故郷の実家で個人的事情とモナへの愛情を画面に映し出す。モナは会ったこともない映画スターの婚約者の許へ境界を越えて嫁いでいく。シリア側出入国管理の無理難題に翻弄される。最後に出た、モナの「もう2度と帰れない。でも私はこの境界を越える」とのテロップが重いメッセージを伝える。

2009年3月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com