昨年の今日、鎌倉で3ヶ月前に旅行したチベットについて講演した。ところがちょうどその頃チベットでは、州都ラサを中心とするチベット民族居住区で中国の圧制に対する反対と、チベット民族自治権獲得のためのデモが起き、それは暴動へ発展していった。チベット民族自治のための戦いは、あっという間に各地に野火の如く広がり、一時は北京オリンピック開催が危ぶまれるほどだった。その後チベット自治区では中国軍によって自治獲得の運動は完全に封じ込まれてしまった。あの暴動直後の中国と中国人の世界におけるわが物顔のパフォーマンスにはうんざりし、反吐が出るほどだった。この様子を見て中国が嫌いになったという人を大勢知っている。他国で自国の正当性を言いたい放題振りかざし、世界中の顰蹙を買ったのはつい最近のような気がする。今も中国政府はチベットには本当の自治を与えていないようだし、チベット民族の自治なんか認める考えは毛頭ないようだ。中国が他国のことを考慮し精神的に自立するのはいつのことやら。
さて、今日は暦の上では、あまり縁起の良い日ではない。しかし、以前からの約束で、嬉しいことに昨年駒澤大学の公開講座を受けた時の講師のひとりである、菱山郁朗講師からもうひとりの受講者とともにご自宅へ食事に招かれた。菱山講師は日本テレビで政治部長や解説委員長を歴任され、ミュンヘン・サミットも取材されたり、フィリッピンのマルコス大統領への単独インタビューにも成功された、日本のマス・メディアの中でも傑出したジャーナリストのひとりである。首相経験者を始め、多くの政治家ともお付き合いを深めており、政界にも広く通じている。授業もマス・メディアの現場を踏んでいただけに、秘蔵のビデオを見せてくれては取材経験を話してくれ、それが随分勉強になった。
招かれたのは、JR西八王子駅近くの「颯爽亭」と称する、自宅とは一軒離れた角地にある風流な和風建物である。こういう民家風の日本家屋も久しぶりである。しばしば駒沢大学の学生たちを招いては、学生と交歓していると聞いた。永井荷風の「断腸亭」ならぬ、亡き父上お気に入りだった「颯爽庵」で談論風発したわけである。今話題の「小沢一郎」「中川昭一」「竹中平蔵」「岸恵子」「江川紹子」についても異論、反論、オブジェクションだった。コタツに足を突っ込みながら酒を酌み交わしたのも久しかった。遠慮することも、気兼ねすることもなくあっという間に愉快なひとときに、気がついたら4時間ほど経ってしまっていた。
腹がへったから軽くラーメンでも食べようと外出して、3人でそのままカラオケボックスへ飛び込んだ。ここで下手な軍歌をご披露して、すっかりリフレッシュして帰途につく。
すっかりいい気分になった1日だった。菱山先生、お世話になりました。ありがとうございます。