日本時間で今朝国連安保理事会は緊急会合を開き、昨日打ち上げた北朝鮮の長距離弾道弾「テポドン2」の国連決議違反に関する日本の提案を協議したが、決議採択には至らず、引き続き協議を継続することになった。やはりロシアと中国の消極的な姿勢が採択に至らなかった最大の理由である。
今度の「テポドン」事件には、マス・メディアが挙って過熱報道した。このこと自体が、或いは、北朝鮮の思う壷だったかも知れない。しかし、それにしても今朝の朝日新聞に載った東京駐在の外国人特派員の声の中で、42歳のファクラー・ニューヨークタイムス東京支局長の「ワシントンやソウルの冷静さに比べて日本は騒ぎすぎた。・・・・・北朝鮮に攻撃の意図がないことは分かっていたはず。バランスに欠け、パフォーマンスに負けたと言える」とのコメントほど日本人の神経を逆撫でした発言はないと思う。この支局長には核の恐ろしさがまったく分かっていない。被爆国日本が核に対して神経質になるのはある面で当たり前である。このコメントは、世界で初めての原爆投下国アメリカ国民の被爆国日本人に対する言葉とはとても信じられない。過去の戦禍を知らないベトナム戦争末期に生まれた世代の、大国主義、アメリカ一国主義がもたらした戦争を直視せず、反省もしない無神経な思考回路から生まれた発想である。こういう特派員を日本国内で取材活動に当たらせているマス・メディアの報道は決して公平ではなく、独りよがりの報道であると断じざるを得ない。
時恰もヨーロッパを訪問中のオバマ大統領は、プラハでチェコ国民を前に核廃絶へ向けた新政策を打ち出した。包括的核実験禁止条約(CTBT)をアメリカが批准することを目指す意向を表明した。更に一歩踏み込んで広島・長崎への原爆投下を指す「核を使用した唯一の保有国としての道義的責任」に触れ、「核のない、平和で安全な世界をアメリカが追求していくことを明確に宣言する」とまで述べたのである。ここまで核被災者の気持を代弁した歴代のアメリカ大統領はいない。これでこそ核断絶へつながる第一歩と言ってもいい。
オバマ大統領になって確かにアメリカは変わりつつある。ブッシュ前政権時代には自国主義を貫き他国の利にそっぽを向き、京都議定書の批准を拒み、CTBTの批准に賛意を示さず、多くの国々の顰蹙を買っていた大国アメリカが、オバマ大統領に代わって態度を‘CHANGE’させてきているのである。歓迎すべきオバマ大統領の言動である。早速日本の原爆被爆者団体はもろ手を挙げて歓迎している。その一方でこの空気をつかむことが出来ないジャーナリストが現実に取材活動に当っているのは何とも嘆かわしい。